2022年07月17日黒松理穂 Photo by A. v. Z.海のはなし 小さな海「なみだはにんげんのつくることのできる一ばん小さな 海です。」と、寺山修司は、詩に書いた。生き物はもともと、海から生まれたという。人間の場合、海から陸へと移り住む過程で肺や手足と一緒に、まぶたや涙腺もできたらしい。涙がしょっぱいのは、私たちが海にいた名残。私たちの目から流れる小さな海も、やがて蒸発して雨となり、大きな海へといつか帰っていくだろう。