2022年07月17日
石橋涼子
海のはなし ステラーカイギュウ
1741年、
カムチャッカ探検隊の船が
嵐によって小さな島に座礁した。
無人島の海辺には、人々が見たことのない大型生物が
群れで生息していた。
その姿はジュゴンやマナティに似ており、
体重は数トンもある巨大な体を持っていた。
とても大人しい性質で、捕獲するのは簡単だった。
肉は大変美味で、ミルクからはバターがつくれ、
毛皮は靴やベルトになったという。
遭難した探検隊は、この生物のおかげで命を繋いだとも言える。
探検隊の一員で、博物学者でもあるステラーにちなんで
ステラーカイギュウと呼ばれたその生物は、
その後、肉や毛皮を求めるハンターに乱獲され、
ついには絶滅した。
ステラーに発見されてから、わずか27年だった。