Team MOMENT

2022年07月23日

執筆者佐藤理人

Photo by Eva Bronzini from Pexels

とても赤い実 ショートケーキ

ショートケーキは100年前、大正時代の日本で生まれた。
発案者には2つの説がある。

1人は不二家の創業者、藤井林右衛門。
洋菓子の視察で渡米した彼はアメリカの伝統菓子、
「ストロベリーショートケイク」と出会った。
「ショート」とは「短い」ではなく「サクサク」。
苺とクリームを挟んだクッキー生地の歯応えを、
藤井は日本人好みの柔らかいスポンジに取り替えた。

もう1人はコロンバンの創業者、門倉國輝。
フランスでのパティシエ修行中、彼はあるケーキと出会った。
マリーアントワネットも愛した「ル・バガテル」は、
ビスケット生地に苺とバタークリームを重ねたこってり系。
門倉はそれをしっとりした生地とあっさりした生クリームで、
日本人好みに改良した。

それでもショートケーキが全国に広まるのは、
冷蔵庫が普及する1950年代まで待たねばならなかった。
70年代に入り、クリスマスケーキが流行すると、
ショートケーキは日本の国旗と同じ紅白の色を追い風に、
一気に国民的ケーキの座を獲得する。

苺の甘みと程よい酸味、軽やかな生クリーム、
ふんわりしたスポンジが織りなす絶妙なバランス。
ショートケーキは「和を以て尊しと成す」日本人らしい、
美味しいハーモニーだった。

ショートケーキは今年で100周年。

執筆 佐藤理人

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