2022年08月20日
大友美有紀
美術館・博物館「地中美術館」
瀬戸内海の直島にある、地中美術館は
安藤忠雄設計、建物の大半が地下にある。
ここにモネの部屋がある。
最晩年に描かれた「睡蓮」を見るためだけの部屋だ。
シリーズ5点を自然光で見ることができる。
部屋のサイズ、デザイン、素材は、
「睡蓮」と空間を一体化するように選定されている。
壁面、額は白色。
床は、角のない2センチ角の大理石が敷き詰められている。
壁面には目の粗い漆喰が、継ぎ目やムラがないように塗られ、
視線を途切れさせないように、部屋の角をなくしている。
地中美術館の構想は、
「睡蓮の池」と名付けられた最初の一枚を
どのように見せるか、から始まったとされている。
絵画を展示する空間が作品であるように。
そして絵画と空間が一体化するように。
モネの部屋に足を踏み入れる。
睡蓮の池が目の前にある。
あかりは自然光だけ。
時間、季節、天候によって絵の見えかたが変わってくる。
モネが見続けた睡蓮の池の景色は
こうだったのかもしれないと思う。
それは美が変化する一瞬、一瞬の蓄積だ。