2022年04月16日
波多野三代
〜人類と歌〜 南極の歌う氷
南極の氷が歌う。
人類がその歌を発見したのは2018年。
マントルの動きを計測するセンサーが伝えてきた
「氷が常に周波数を変えて歌っている」という事実。
科学者たちが「歌」と呼ぶそれは
南極の強風が、分厚い氷を震わせる
地震性のノイズだった。
風に揺すぶられて氷は歌う。
気温が上昇し、
氷が溶け始めると歌のピッチは下がり、
再び気温が下がっても、元の音に戻ることはない。
南極の氷がすべて溶けるその日、
私たちはどんな歌声を聴くだろう。
〜人類と歌〜