2022年10月01日
廣瀬大
写真
一瞬を永遠へと変える写真。
カメラが捉えた一瞬は
フィルムに定着され、永遠となり
時代を超えて人々の目に触れる。
365日、毎朝、同じ時間に同じ場所から撮影された街の写真。
これは映画「スモーク」に出てくるエピソード。
映画の舞台となる小さなたばこ屋の主人は、
毎日、同じ時間に同じ場所から同じアングルで街角を撮影し続ける。
映画の主人公の一人である小説家が、
たばこ屋の主人にこの写真を見せてもらうシーンがある。
無数にある写真アルバムをどんどんめくっていく小説家。
たばこ屋の主人はをゆっくり写真を見ろと言う。
ウィークデー、週末、
よく晴れた日、曇りの日、雨の日、
春の、夏の、秋の、冬の日差し、
その日、その日によって天候も光も違えば、歩く人々も違う。
季節が移り変わり、街を歩く人々の服装も変わる。
よく見る顔、一度しか見ない顔。
新しい顔がよく登場するようになり、古い顔が次第に消えていく。
同じようでいて一枚として同じ写真はない。
ふと、小説家の手がとまる。そこには一枚の写真が。
その写真には小説家の亡くなった奥さんが
職場に向かって歩いている姿が写っている。
なぜ、たばこ屋の主人はこのカメラで街を毎日撮影
するようになったのか。
そこに至るまでのエピソードは、映画を観てのお楽しみ。