2022年10月22日
田中真輝
川の流れと文学 『無常の川』
行く川の流れに、人は何を重ねてきたか。
ゆく河の流れは絶えずして、
しかも、もとの水にあらず。
鎌倉時代、鴨長明によって記された
「方丈記」冒頭の一文。
そこに込められたのは、
移り行くもののはかなさ、無常観。
その随筆の中で、鴨長明は
乱世を生き抜く術として
自身が住む小さな庵への愛着さえ
自らに戒めている。
SNS上に次々と現れては
消えていく事々は、まるでよどみに浮かぶ
うたかたのよう。少し心を離して
その流れを眺めるぐらいが、
丁度いいのかもしれない。