2022年12月25日
若杉茜
歌のはなし クリスマスの唄
日本を代表する歌人、正岡子規。
日本で初めてクリスマスを詠んだのもこの人だ。
臘八(ろうはち)の あとにかしまし くりすます
1892年、明治25年に読まれたこの唄が、
初めて俳句にくりすますが登場したものと言われている。
臘八とは、12月8日に釈迦が菩提樹の下で
悟りを開いた日のことであり、
この日の周辺で、厳粛な仏教行事が行われる。
そんな厳かな雰囲気から一変して、
華やかで少し騒々しい、浮かれた空気のくりすますへ。
慌ただしい師走の空気と、
子規のくりすますへの距離を感じる唄だ。
子規はその後も繰り返し、クリスマスを詠んでいる。
八人の子どもむつましクリスマス
贈り物の数を尽くしてクリスマス
結局子規も、クリスマスを楽しんでいたのかもしれない。