2023年01月01日
中山佐知子
新年の歌 正月気分
お正月気分って、どんな気分なのだろう。
その問いに、樋口一葉の歌が答えてくれる。
あらたまの年の若水 汲む今朝は
そぞろにものの うれしかりけり
「若水」は元日の朝に初めて汲む水のことだ。
誰にも会わないように早朝に汲む。
当時は共同の井戸から水を汲んでいた。
もし誰かに会っても口をきいてはいけないから
急ぎ足になる。
水を汲んで、小走りに帰る足元で
今朝おろしたばかりの下駄がカタカタと
冴えた音で鳴っただろうか。
うつむきかげんのうなじを撫でる風の冷たさも
新年の清々しさに思えたのだろうか。
「そぞろにもののうれしかりけり」
なんとなくうれしい、
これが正月気分かと思う。