2023年01月14日
道山智之
はじまりとおわり 「おわりとはじまり」
日常に、わかりやすく派手に楽しいことは
そんなにしょっちゅうあるもんじゃない。
日々のルーティンや退屈のなかに、
よくよく目をこらしてみれば、
鉱山の石のなかの金の含有量ほどの割合で、
きらっとひかる何かが見つかる程度だ。
見すごしてしまうことだってある。
そんなときに、なにか近道がほしくなって、
退屈な日常をひっくり返してしまおうという衝動を
きっと人間はどこかに持っている。
***
だが、一度ひっくり返してしまったものは
なかなか元に戻せない。
正確に言えば、
「元に戻したい。元に戻そうよ」と言い出しにくい。
自分がはじめたことだから。
みんなの心を曇らせる
心配ごとがつづく。
おわらせる日はくるのだろうか。
***
「元に戻す」のは言い出しにくい。
「おわらせる」には道筋が見えない。
そんなとき、「はじめる」ことをはじめてみてはどうだろうか。
歴史の教科書に何度も描かれてきたような、
コントロールできない状況のエスカレーション。
それを制御する最適な手段は、
“言葉”であるにちがいない。
今ここにいない人。
意見の対立する人。
相手と一対一で話すことで、新しいステージを、はじめられないか。
言葉で願いをかけ、
言葉で心配したりほっとしたり、わくわくしたりする私たち。
はじめることで、
おわるものがきっとある。
***
はじまりとおわり。
Moment for the infinity