2023年01月14日
道山智之
はじまりとおわり 「時のながれ」
演劇だって、
映画だって。
はじまる10分前に劇場の席についていれば問題ないが、
10分後に入ってしまえば状況はかわってくる。
ストーリーはわからないし、
まわりのお客さんも困るだろう。
おなじ10分。
なのに、前と後では全然ちがう。
なぜこんなにもちがうのだろう。
答えは簡単、
時の流れが一方通行だからだ。
早いはいいこと。
おそいはちょっとつらくなる。
10分前にプレゼンの席につくのはいいことだが、
10分おくれて席についたら、
決まるはずのものも決まらなくなる。
***
早いほうがいい、ということは世の中に多い。
というか、ほとんどだ。
早いと割引率も高まるし、
仕上げのスケジュールにも余裕が出るし、
なにかまちがいがあったときに取り返せるチャンスが増える。
でも、わかっているのに。
まるで時のながれにおされるように、
ついついなんでも後回しになりがちだ。
朝はついおそくまで寝てしまうし、
なんでもかんでもギリギリになって、
高い特急サービスを利用することもしばしば。
さらには
早めにやるよりずっとたいへんな
言い訳を考える作業や謝罪の言葉を考えたりする必要が出てくる。
時の流れは一方通行。
その圧倒的な大前提の中で私たちは生きている。
はじまりがあって、おわりがある。
***
でも、でも、ついなんでもおそくなりがちな私たちには大きな希望がある。
今日が終わる。
そのあとにはなんと、明日がはじまるということ。
おわりははじまりの予告篇。
生きていく日々の数だけ、
私たちには自由なストーリーを描くチャンスが用意されている。
***
はじまりとおわり。
Moment for the infinity