2023年01月21日
佐藤日登美
未来:ユヴァル・ノア・ハラリ
世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者、
ユヴァル・ノア・ハラリ。
昨年、ハラリは小中学生向けの歴史書『人類の物語』を出版した。
600万年にわたる人類の歴史を子どもにもわかりやすく綴っている。
この本の執筆で、ハラリを悩ませたのは、戦争や差別といった
人類史の暗い側面について、子どもたちにどう語るかという問題だった。
ハラリが指針として定めたのは、
事実をきちんと受け止められるほど成長していない子どもたちに対して、
事実をはっきりと描写するのは避けること。
そして、歴史の中で起きたどんなにひどいことも
人類はつねにいい方向へと物事を変化させられると伝え、
主体感を強調すること。
ハラリは語る。
私は歴史が人々を縛るのではなく解放するツールになることを願う。
古い対立をさらに続けるためではなく、新しい調和をつくり出すツールに。
つまるところ、歴史学習とは過去を忘れないためではなく、
過去から解放されるためにあるのだから。