2023年03月05日佐藤延夫 Photo by Toshihiro Gamo春の色 「一斤染」紅花の赤だけで染めた色を唐紅からくれないと呼ぶ。天皇の許可がなければ着られない色とされた。一反の絹を染めるのにおよそ6kgの紅花が必要だったからだ。誰にでも許されていたのは紅花を10分の1の600gに減らして2反の絹を染めた一斤染いっこんぞめだ。これよりも薄い紅花染なら、身分を問わず誰でも着ることができた。一斤染は位の低い武官などが着用し、彼らの象徴的な色になったとも言われている。春を呼ぶ淡いピンクである。