2023年07月02日
中山佐知子
銀河鉄道の星めぐり 「アルビレオ」
銀河鉄道の線路は天の川の
左の岸に沿って南へ南へと延びていた。
やがて川の真ん中に黒い大きな建物が見えてきた。
アルビレオの観測所だった。
その屋根の上には
サファイアとトパーズの大きな球が静かにまわっていた。
青と黄色が重なったところは緑色になり、
また離れて青と黄色にもどる。
そんな動きを繰り返しながら、
音もなく形もない銀河の水の速さを測っているのだった。
アルビレオは白鳥座の頭の部分にある有名な二重星。
天の宝石とも呼ばれる星だ。
肉眼ではひとつにしか見えないが、
望遠鏡をのぞくと大きな黄色い星と小さな青い星が
美しく寄り添う姿が見える。
銀河鉄道はアルビレオを後にして、
さらに南へ向かっている。
〜銀河鉄道の星めぐり
TRAIN DE NUIT DANS LA VOIE LACTEE〜