2023年08月12日
佐藤理人
お盆の裏話 「盆踊り」
盆踊りのルーツは仏教にあった。
鎌倉時代、時宗の創始者・一遍上人が、
鉦と太鼓を打ち鳴らし、踊りながら念仏を唱える、
「踊り念仏」を広めた。
輪になって念仏を唱えながら、延々と踊り続ける。
救済の喜びを全身で表現する、
その奇妙な信仰はお盆の習慣と結びつき、
死者の霊を供養する「盆踊り」として定着。
人々は衣服がはだけるのも気にせず踊り狂い、
盆踊りは大ブームとなった。
江戸時代に入ると、信仰より芸能の色合いが濃くなり、
各地で衣装、振り付け、道具、音楽が独自の進化を遂げた。
当時、男女が集まる行事はほぼなく、
出会いの場としても大いに機能した。
ところが1874年、明治時代になると、
風紀を乱し近代化の妨げになるとして、
盆踊りは政府から禁止されてしまう。
それからも盆踊りは戦争、震災、パンデミックなどの
災いによって中止を余儀なくされる。
しかしその度、人々の交流の場として復活を遂げてきた。
2022年11月、盆踊りをはじめ、
お囃子に合わせて踊る日本の民俗芸能「風流踊」は、
時代を超えた文化的・社会的価値が認められ、
ユネスコの無形文化遺産に登録された。