2023年11月18日
小林慎一
恐竜の化石は語る #7
6千6百万年前に隕石が衝突し、恐竜は滅んだ。
それが、哺乳類の時代の幕開けとなった。
宇宙空間のほんの少しの揺らぎで、隕石は衝突しなかったかもしれない。
まったく別の日に衝突したかもしれない。
古生物学者ケネス・ラコバラが発掘した
巨大恐竜ドレッドノータスの骨は、
7千7百万年もの長い間土に埋まっていた。
ドレッドノータスを恐れ、岩の隙間に縮こまって生きていた
ネズミのような哺乳類の子孫が
知恵のある生物に進化し、その骨を発掘し、
3Dレーザースキャンを使い、その姿を復元する。
誰が、このような未来を想像しただろうか?
私たち生物の歴史は
無限にある分岐点をひとつひとつ通りながら、ここに辿りついている。
ひとつの道が選ばれることが奇跡であり、
その奇跡が無限に積み重なって今がある。
家よりも巨大な恐竜がいた時代。
自動車のような大きさのダンゴムシがいた時代。
ワシのようなトンボがいた時代。それはみな実際にあった歴史だ。
現代は、6回目の大量絶滅期を迎えている。
それは、人類の活動によって生み出されている。
恐竜は、巨大隕石が来ることを知らなかった。
どう対処していいか知らなかった。
ケネス・ラコバラは、こう講演を締めくくった。
私たちは、恐竜と違い、対策をするという未来を選ぶことができる。
それこそが人類がすべき選択なのです。