2023年12月03日仲澤南 Photo by Zengame甘党 芥川龍之介 「詩人と羊羹」芥川龍之介の作品『都会で』の一節に、こんな文章がある。夜半の隅田川は何度見ても、詩人S・Mの言葉を越えることは出来ない。この詩人S・Mとは、室生犀星(むろお・さいせい)のことだという。犀星は隅田川を、こう表現したのだ。——「羊羹のやうに流れてゐる。」夜の暗く静かな川を、羊羹と見る。その感性が、甘いもの好きの芥川の琴線に触れたのかもしれない。