2024年02月03日
佐藤理人
節分の豆知識 「鬼」
頭には牛の角を、口には牙を生やし、
虎のパンツを履いて、金棒をもった赤や青の大男。
現代の鬼のイメージは、室町時代に生まれた。
鬼の語源は「隠れる」という漢字の「隠(おん)」。
目には見えない隠れた存在、という意味。
戦、災害、飢饉など多くの害をもたらす、
理解を超えた現象を、人々は「鬼」と呼んで恐れた。
得体の知れないものへの恐怖はやがて、
仏教に登場する地獄の鬼と結びつき、
実体のある怪物として描かれるようになった。
室町時代の絵画「百鬼夜行絵巻」には、
バラエティに富んだたくさんの鬼が描かれている。
鬼がこの世に出入りする入り口を「鬼門」という。
鬼門は風水上、北東、すなわち丑寅の方角。
鬼の頭が牛で、下が虎なのはそれが理由である。
しかし鬼は、妖怪の姿をしているとは限らない。
鬼という漢字は元来、死者の魂、すなわち霊を意味する。
霊としての鬼の正体は、実は人間自身。
憎しみや嫉妬で、人間が悪霊に変わったものだ。
その代表が「般若の面」。
嫉妬に狂った女性が鬼になった姿である。
怒った女性が鬼のように恐ろしくなる様子は、
現代でも「鬼嫁」という言葉で受け継がれている。