2024年03月17日
佐藤延夫
ソースみたいな存在であったなら
「マスタード」
たとえばホットドッグを注文したとき。
これがなかったら、悲しい気持ちになるだろう。
人生を変えるほどではないけれど、
今という瞬間を、
ちょっと幸せにしてくれるもの。
それが、マスタード。
マスタードシードの歴史は、
紀元前4000年にも遡るそうだ。
また、古代ローマの史料には
こんな一文が残されている。
細かく刻んだマスタードの種子に酢を混ぜ、
すりつぶしたアーモンドや松の実と合わせる。
まるで現代のレシピだ。
中世になると、高価なスパイスの代用品として庶民が愛用し、
ルネサンス期には特権階級の食卓にのぼった。
マスタードは、人類に欠かせないものだ。
ナイチンゲールは言っている。
物事を始めるチャンスを私は逃さない。
マスタードの種のように小さな始まりでも、
芽を出し、根を張ることがいくらでもある。
生き方も、マスタードが教えてくれる。