2022年07月02日
大友美有紀
新宿の魅力 「深夜食堂」
新宿、さまざまな魅力を持つ街。
「深夜食堂」は新宿の花園界隈の路地裏にある小さな飯屋。
と言っても漫画の話である。
作者は阿部夜郎。
2006年からの連載で、2010年には日本漫画家協会賞の
大賞を受賞している。
深夜食堂のマスターは左目に傷がある。
本名も経歴も一切不明で、午前0時に店を開ける。
営業時間から想像できるが、
この店の常連は新宿で働く人が多い。
深夜食堂は、材料さえあればどんな注文にも応えてくれる。
甘い卵焼き、赤いタコ足のウインナ炒め、冷汁(ひやじる)
きんぴらに肉じゃが。穴にキュウリを入れた竹輪。
そういえば、チーズの入った竹輪の磯辺揚げもあった。
深夜食堂で出てくる料理に贅沢なものはない。
郷愁を誘うものが多い。
魚肉ソーセージ。
目玉焼きをのせて青のりをかけた焼きそば。
単なるバターライス。
隣の客が食べていれば自分もひと口食べたくなるような料理は
とても多い。
漫画の読者も同じ気持ちになるらしく
深夜食堂の料理本まで出版されている。
気取りを脱ぎ捨てた人たちが集まる深夜食堂。
新宿の入り組んだ裏道を歩くと、
深夜食堂がどこかにあっても不思議ではない気がしてくる。