2022年07月17日
小野麻利江
海のはなし ショパンのバルカローレ
バルカローレ。日本語にすると、舟唄。
ピアノのための短い楽曲のひとつで、
海に浮かぶ水の都・ヴェネツィアの水路を進む、
ゴンドラの漕ぎ手が口ずさむ歌を
モチーフとしている。
舟唄の中でも代表的な作品が、
ピアノの詩人・ショパンによるもの。
恋人だったジョルジュ・サンドと破局を迎え、
失意の中でつくられたというこの曲は、
在りし日の思い出が幻想となって、
波間に散っていく様を描いたとされる。
ショパンが生み出したヴェネツィアの水面は、
本物に負けないくらい、眩しい。