2022年09月04日仲澤南 Photo by Benjyamin.jpgかき氷と文芸 氷屋の旗天才といわれた歌人・石川啄木に『氷屋の旗(フラフ)』という随筆がある。フラフとは旗のことで、風のない炎天下、揺れもせずに垂れ下がる氷屋の旗に焦りながらも何もしない自らを思い苦悩するのだ。同じ年、ついに啄木は氷を食べて暑さを和らげるのは自然に反逆している、とある新聞に書いた。しかし、彼の日記にはかき氷を食べたことが度々書かれているから不思議だ。冷たい誘惑、かき氷夏の名残りが歯にしみる。