2022年10月08日
波多野三代
〜世界で一番高い木の話〜 ハイペリオン
地球上で最も大きな生き物、木。
中でも世界一高い木はカリフォルニアの
「レッドウッド国立公園」に生えている。
その世界一高いセコイアの木は「ハイペリオン」と呼ばれている。
名前の由来は、古代ギリシャ神話に登場する
巨大な神々の1人。太陽神「ヒュペリオーン」
高みをいくもの、という意味。
樹齢は600年で、大航海時代のころから生きていることになるが
意外なことに、セコイアの寿命からすると
まだ20歳代の若者にあたる。伸び盛りだ。
その高さは115メートル。
ピサの斜塔や自由の女神、ビッグベンをも超えている。
この木がこれだけの高さに成長できたのは
山火事に強い性質のおかげだ。
30センチにもなる分厚い樹皮と、
燃えにくいタンニンや水分を豊富に含むこと。
この性質のおかげで
他の木々が燃えても、ハイペリオンは生き延びることができた。
なお、今このハイペリオンに近づこうとすると
5000ドルの罰金と、6ヶ月の懲役が科される可能性がある。
それは、2006年にこの木が発見されてから
物見高く押し寄せた人々が周辺を踏み荒らしたのが原因だそうだ。
度重なる火災にも耐え、伐採も免れて
長く生きてきたハイペリオン。
その生のほんの一瞬、現れた人間たちを見て何を思っただろうか。
ハイペリオンは、守ろうとする人々の配慮によって
また平穏を約束された。
〜今日は木の日〜