2022年12月31日
川野康之
星野道夫の旅 クジラ漁
星野道夫は
エスキモーのクジラ漁のキャンプに加わった。
夢見ていたクジラ漁は、
ひたすら待つことだった。
風を待ち、
氷が割れて海面が現れるのを待ち、
そこにクジラが通るのを待った。
クジラが現れると
アザラシの皮でつくったボートを懸命に漕いで追いかける。
そのなかに星野道夫もいた。
追いつけなかったが、
その時のことを後にこう書いている。
「それは表現することのできない、異次元の体験であった。
追う人間と、同じ生命の延長線上にクジラの生命があった。」
(『アラスカ 光と風』)