2023年02月12日
櫻井瞭
直木三十五と直木賞 「懐中時計」
132年前の今日は、
直木賞で有名な作家、直木三十五が生まれた日。
直木賞の賞品は、自分の名前が刻まれた懐中時計と100万円。
賞の創設者は、作家の生活が苦しいことを知っており、
いざというときに質入れ品としてお金に換えられるよう、
「世界に一つしかない懐中時計」を賞品にしたという。
そして実際、その通りにした人もいる。
第11回直木賞・河内仙介。
お酒が大好きだった河内は、
仕事そっちのけで遊び回り、
ついに賞金も使い切ってしまった。
やむにやまれず
「第十一回直木賞・河内仙介」と刻まれた、
正真正銘、本物の時計を質屋に持って行くと、
その店主はこう言った。
「惜しいもんだ、この文字がなけりゃ、もっと高く預かるんですが」