2023年03月05日
佐藤延夫
春の色 「紅梅色」
冬の終わりに咲く花。
梅には、春告草という別名がある。
奈良時代、あるいはそれ以前に渡来したといわれる白梅は
香りがもてはやされ、
一方、平安時代に伝わったとされる紅梅は
美しい色合いで人々を魅了した。
紅梅の色をたとえると、
やや紫色を含んだ淡い紅色。
平安時代には、貴族の女性たちに好まれ、
装束の色としても人気が高かった。
木の花は、濃きも淡きも紅梅
枕草子の中で清少納言も
紅梅の美しさを褒め称えている。
思えば、令和という元号も、
出典は万葉集にある梅の歌だった。
初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす
(しょしゅんのれいげつにして、きよくかぜやわらぎ、うめはきょうぜんのこをひらき、らんは はいごのこうをかおらす)
日本人の心に、梅の花が咲いている。