2023年03月26日森下鉱 Photo by Hiroyuki Takeda春のはなし 「桜の樹の下には」桜の樹の下には屍体が埋まっている!梶井基次郎の小説の始まりの一文。青空の下、満開の桜もきれいだけれど、真夜中に観る桜はまったく別のもの。静まり返った公園、狂ったように咲き誇る桜。確かに屍体さえ栄養にしてしまいそうな圧倒的生命力を感じる。梶井基次郎は、さらにこんなことを書いている。どんな樹の花でも、いわゆる真っ盛りという状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。