2023年04月15日
中山佐知子
タイタニックが沈んだ日 「仕立屋メイ(May Birkhead)」
メイ・バークヘッドは
未亡人の母親と一緒にルイジアナ州に住む仕立屋だった。
叔母のヨーロッパ旅行に同行し、
1912年のその日、カルパチア号に乗っていた。
現地時間の朝4時半、
彼女が目覚めると
甲板を慌ただしく走りまわる音が聞こえていた。
部屋を出ると船より大きい氷山が見えた。
海には見知らぬ救命ボートが浮かび
カルパチア号の乗組員が
寒さに震える生存者たちを救助している最中だった。
すぐに彼女の才能が必要とされた。
船のタオル、カーテン、テーブルクロス。
あらゆる布を使って
メイ・バークヘッドは
タイタニックの生存者のために服を縫った。
4月15日、タイタニックが沈んだ日。