2023年04月22日
長谷川智子
山菜とアースデー 「万葉集」
岩ばしるたるみの上のさわらびの
もえいづる春になりにけるかも
万葉集、春の歌を代表する一首。
雪どけ水流れる滝のほとり、緑鮮やかなわらびが顔を出す。
そんな春になったのだなあ。
と、春の訪れを喜ぶ歌。
この歌に登場するわらびの他に、
万葉集には、ふき、せり、のびる、ヨメナなど20以上の山菜が登場する。
「びるを刻んで酢醤油と一緒に鯛にかけて食べると美味しいなあ」
なんて、よだれが出そうな食いしん坊な歌もある。
山菜は、古代からずっと、日本人に春の訪れを知らせる特別なごちそう。
だから山菜取りは、食べ物だけでなく春を探す特別な楽しみ。
君がため春の野に出て若菜つむ
わが衣でに雪はふりつつ。
これは思いを寄せる人にプレゼントする若菜、つまり山菜を摘みに野原にでかけた。
緑の野に、名残りの雪がちらついて美しいという意味だ。
ちなみに早蕨の歌は志貴皇子のお歌。
若菜の歌は光孝天皇の御製。
その昔、山菜採りは皇族や貴族の娯楽でもあったようだ。
大地の恵みを味わい、楽しむ、そんな暮らしが続きますように。
今日は、アースデー。