2023年04月23日
新井奈生
音楽の話 #2
カトリックにとって、聖歌は重要なツールである。
いつでもどこでも同じ聖歌を歌えるようにと、
彼らは「譜面」の開発に勤しんだ。
はじめは鍵盤楽器をベースに作られていたが、
すべての楽器をカバーするよう進化し、
やがて五線譜が完成した。
無論、キリスト教圏以外でも、さまざまな譜面が生まれている。
しかし楽器や歌い手によって揺らぎがないよう
徹底的に様式を統一したものは、他に例がないようだ。
カトリックの語源はギリシア語の「カトリコス」。
普遍的な、という意味である。
普遍性への執念が、どの瞬間も彼らの心に根付いていた。