Team MOMENT

2023年06月10日

執筆者佐藤理人

時の記念日 「時間厳守の時代」

日本人は時間に厳しい。諸外国が抱くこの印象は、
電車の運行時間の正確さによるところが大きい。
先進国でも10分程度の遅延は普通だし、
定刻より早く出発したり、運行のキャンセルも珍しくない。

日本の鉄道はなぜここまで時間厳守が要求されるのか。

きっかけは1894年の日清戦争。
輸送物資と人員が急増すると、鉄道の需要が高まった。
しかし狭い日本では、線路の幅も西欧諸国より狭く、
一車両あたりの輸送量も少なかった。

輸送能力を上げるには、運行頻度を上げなければならない。
そして運行頻度を上げるには、時間の正確さが不可欠だ。
戦争の影響で日本の鉄道は、時間精度を急速に向上させた。

戦争の鉄道バブルにより1899年までに、
全国で約60社の鉄道会社が営業免許を取得。
路線間の乗り継ぎが盛んになると、
電車の遅延は厳しく批判されるようになった。

かつて明治の鉄道員には侍出身の士族が多く、
几帳面で、完璧にマニュアルを守ろうとした。

しかし現代日本における時間厳守の通念は、
律儀な民族性だけに依るものではない。
当時の鉄道が成し遂げた、社会発展の賜物だった。

今日は時の記念日。

執筆 佐藤理人

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