2022年05月14日
波多野三代
〜食は地球を回す〜 クレオパトラの真珠
エジプト最後の美しきファラオ、
クレオパトラ。
絶大な富を誇る彼女は当時、
世界最大と言われる真珠を身につけていた。
それは値がつけられないほどの価値があったという。
ある日彼女は、ローマの将軍アントニウスに
賭けを挑んだ。
「一晩で、一千万セステルティウスをかけた宴会をして見せましょう。」
それは当時の貨幣で小さな国が1つ買えるほどの金額。
どんなに豪華な料理や酒を並べても、
とてもそんな金額には達しない。
審判を連れ、半信半疑でその宴に参加したアントニウス。
案の定、宴は豪華であったがいつもと変わったところはない。
だが、最後にクレオパトラは盃を掲げてこう言った。
「では、今から私一人で、一千万セステルティウスを使って見せましょう。」
彼女は自らの両耳を飾る、世界に一対しかない巨大な真珠を一粒外し
躊躇うことなく盃に落とすと、一息に飲み干した。
もう一つの真珠に手をかけた時、たまらず審判は言った。
「勝負はついた。賭けはあなたの勝ちだ。」
たった一口で、女王はアントニウスを征服した。
〜食は地球を回す〜