2023年12月03日
仲澤南
甘党 芥川龍之介 「妻と羊羹」
芥川龍之介は、
妻の文(ふみ)にいくつもの手紙を書いた。
彼の作風からは考えられないほど、
素直でまっすぐな文章で。
芥川は手紙の中で、
旅の途中、羊羹を食べに
京都に寄った話をしたという。
今度京都へ行ったら、
お土産に買ってきてあげましょうか。
羊羹を食べるために京都に寄り、
ラブレターにまで甘いものの話が出てくる。
あきれるほどの甘党だ。
またあるときの手紙では、
こう記している。
この頃ボクは文ちやんがお菓子なら
頭から食べてしまいたい位可愛い気がします。
嘘ぢやありません。
ほかでもない、
大の甘党の芥川からのこの言葉。
妻・文への愛がどれほどのものだったか、
これだけでもうかがい知れる。