2024年03月10日
蛭田瑞穂
育てる 「小澤征爾①」
先月他界した、指揮者界の巨匠小澤征爾。
彼は毎年、夏になるとレマン湖の畔で音楽アカデミーを開き、
若い学生を自ら指導した。
「そう、とてもいい。でも、もう少し長いほうがいいな。
ほんの少しだけね」
「ちょっと待って。ここは少しクレッシェンドを入れよう。
すべての感情を次の1拍目に込めるんだ」
小澤は学生たちの演奏を否定しない。
良いところはもっと良くなるよう助言し、
改善点は、時には鼻歌を交えて、具体的に説明する。
そして、演奏の技術が上がると満面の笑みで喜びを表した。
小澤は語る。
彼らは音楽を生み出していく。本当にすばらしい。
音楽では呼吸が大事です。僕の息にみんなが合わせる。
同じ呼吸で演奏してくれる。指揮者にとって至福の時です。