2022年04月02日
田中真輝
映画とリアル
わたしたちは、ある映画を「リアルだった」
「リアルではなかった」と評することがある。
しかし、映画における「リアル」とは、
一体何なのだろう。
わたしたちが「リアルだ」と感じるとき、それは
登場人物の感情や行動が
「人間らしい」と思えるときではないだろうか。
親が子を思うあまり、不条理な行動を取る。
愛する人を失った悲しみによって、
主人公は人生を投げ捨てる…
思いもよらない展開でも
その背後に「人間らしさ」を感じ取れば
わたしたちはそれを「リアルだ」と感じて、共感する。
忙しい毎日の中で、ささやかな人間らしさは
見落とされがちになる。
社会や国や政治といった大きな仕組みは
ひとりひとりの人間らしさを見えにくくする。
しかし、どんな世界も、どんな時代も、
ひとりひとりの人間からできている。
だからこそ、わたしたちは映画の中に
「人間らしさ」を確かめにいくのではないだろうか。