2023年09月17日
黒松理穂
電車のはなし 「車掌の声」
電車で聞こえてくる、車掌のアナウンス。
鼻にかかった独特な声については
いくつか説がある。
一つは、乗客のため。
普通の話し声は、走行中の騒音と音の成分が似ているので、
あえて高い声にすることで、
聞き取りやすくしたそうだ。
もう一つは、車掌自身のため。
停車駅が多い電車では、アナウンスの頻度も増える。
あの独特な発声は、
喉の負担を減らす目的もあると言われている。
毎日アナウンスする中で、
試行錯誤して生まれた声だったのだ。
しかし、近年はマイクの性能も上がったことで、
「かえって聞き取りにくい」との苦情もあるそうだ。
現在のマニュアルには
「独特な抑揚や、話し癖を出さない」と書かれているとか。
私たちが知る、車掌の声は、
懐かしい音風景に変わっていくのかもしれない。