2024年01月21日
小野麻利江
鍋のはなし 「きりたんぽ鍋」
潰したご飯を木の棒に巻きつけ、
その棒ごと、こんがりと焼く。
焼き目がついたら棒を抜いて、
ちくわのような形になったお米を
斜めに切って、鍋に入れる。
秋田名物、きりたんぽ鍋は
北部の鹿角(かづの)や大館(おおだて)辺りで
親しまれてきた。
この地方の炭焼きやマタギ達が山に籠る際、
そのままのご飯だと腐りやすいため、
木に巻いて焼いた状態で持っていき、
山で獲ったキノコや山鳥と一緒に
鍋にしたのが発祥と言われる。
「たんぽ」という名前は
蒲(がま)の短い穂に由来するという説と、
槍の刃を覆う部分に由来するという説があるが、
どちらも「巻きつけたお米と木の棒」を
セットで見立てている。
ユーモラスな響きを持つこの鍋は、
今でも、ハレの日の家庭料理だ。