幸せと成功の関係 ＃1

ショーンは７歳の時、
５歳の妹エイミーと二段ベッドの上で戦争ごっこをしていた。

彼は見えない弾丸を避けるためエイミーを突き飛ばすと、
彼女は四つん這いで床に落ちてしまう。

ショーンは咄嗟にこう言った。

「エミー。その着地を見ろ。君はユニコーンだ」

エイミーは、泣き顔から、笑顔になった。
ユニコーンが痛みに優った。

ショーン・エーカーはこの体験が
ポジティブ心理学のはじまりだと語っている。

幸せと成功の関係 ＃2

ポジティブ心理学を提唱するショーン・エーカーの
妹の夫、ボボは医学部生だった。

様々な病気ついて学ぶうちに
自分もそれらの症状が当てはまると思い込む
いわゆる医学部症候群にかかる学生は多い。

ボボもその一人だった。

「僕はどうやらハンセン病みたいなんだ」

ショーンはどう慰めていいか分からなかった。
なぜなら、ボボはほんの１週間前に
更年期障害を克服したばかりだったからだ。

現実が私たちをつくるのではなく
脳が世界をどう見ているかで現実はつくられる。
だから脳のレンズを変えよう。
ショーンはこう主張する。

幸せと成功の関係 ＃3

ポジティブ心理を提唱するショーン・エーカーは
ハーバード大学で心の問題を抱えている学生たちの
カウンセリングを担当していた。

彼の幼馴染がハーバード大学に遊びに来た時に
その豪華なカフェテリアに驚きながらこう言った。

「ここの学生で不幸な人なんているのかい？」

この質問は、幸福が周囲の環境によって決まるという前提に立っている。

しかし、ショーンの研究によれば、
長期的な幸福について予測できるのは周囲の環境が１０％で、
残りの９０％は脳が環境をどう認識しているかにかかっているという。

仕事の成功についても２５％がIQで決まり
残りの７５％は、楽観の度合いやストレスの感じ方によって決まる。

ショーンはこう語る。

幸福だと脳が感じている時、人は成功するのです。
それがハッピーアドバンテージです。

幸せと成功の関係 ＃4

心理学者ショーン・エーカーは
４５カ国の学校や企業で研究をしてきた。

文化、宗教、国の経済規模に関わらず、そのほとんどで、
「一生懸命頑張れば成功できる。成功できれば幸福になれる」
という考え方が教育とマネジメントの基礎になっていた。

しかし、この考え方は
科学的に間違っていることを彼の研究は示した。

成功をするたびに、脳は成功を再定義してしまうからだ。

幸せと成功の関係 ＃5

心理学者のショーンはこう語る。

いい学校に入ると、さらにいい学校を目指す。
いい仕事に就いたら、さらにいい仕事を。
いい販売成績を残すと、さらに高い目標を。

幸福が成功の先にあるのなら
私たちの脳はいつまでたっても、
そこにたどり着くことができません。

成功したら幸せになるのではなく
現状のポジティブさを引き上げる。
そうすることで人の脳は「ハッピーアドバンテージ」を
発揮することができるのです。

幸せと成功の関係 ＃6

心理学者ショーン・エーカーの研究によれば、
ポジティブな脳はネガティブな脳よりずっとよく機能するという。

生産性は３１％高くなり、販売成績は３７％上がり、
医者は１５％早く正確な診断ができるようになる。

ポジティブな時に脳ではドーパミンが増加し
幸福感を引き起こすだけでなく
学習機能がオンになり、創造性が高まる。

成功すれば幸せになるのではなく、
幸せな時にこそ
脳はその能力をぞんぶんに発揮できるのだ。

幸せと成功の関係 ＃7

この現代社会では、
私たちの脳はネガティグになりやすい状況にある。

そこで心理学者ショーン・エーカーは
脳をポジティブにする方法をこのように述べている。

その日に起こった嬉しいニュースを３つ書き留め
それを２１日間つづけましょう。

そうすると脳は世の中のネガティブなものではなく
ポジティブなことをまず見つけようと働くようになります。

彼はさまざまな企業でこの方法を教え
多くの成果が上がっているそうだ。

幸せと成功の関係 ＃8

ポジティブ心理を提唱するショーン・エーカーはこう語る。

ハッピーアドバンテージを得るために
ポジティブな日記をつけましょう。
意識的に人に親切にしたり
メールの書き出しを感謝や喜びの言葉ではじめてみましょう。

そうすれば、そのポジティブな波紋は
自分の人生だけでなく社会全体にも広がっていくでしょう。

香りにまつわる物語 『龍涎香』

人類にとって、香りとはなんだろう。

龍涎香(リュウゼンコウ)。

香水にも用いられる動物性香料であり、
その香りは「抹香」に似ているとも言われる。

実は、マッコウクジラの”マッコウ”はこの香りに由来する。

龍涎香は、マッコウクジラの、排泄物なのである。
新しいものには生臭さがあるが、
熟成するほどに、香りが変化するらしい。

いい香りと、臭さは紙一重。

だからこそ、香りは面白い。

香りにまつわる物語 『森の香り』

人類にとって、香りとはなんだろう。

木々の中で深呼吸をする。
身体中が森の香りに満たされる。

その正体はフィトンチッド。
森の木にとっては害虫から身を守るための殺菌成分。
人にとっては
リラックス効果がある森の恵み。

はるか太古の昔から、
森と人は仲が良いのだ。