2022年11月05日
中山佐知子
お好きな服は? 桔梗
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その三番めの「き」は桔梗。
平安時代、男子の正装には決まり事があった。
夏は身分の高い人は上着の下に赤を着る。
それ以下の人は紫である。
ところが、
赤を着るべき人が紫を着て
桔梗だ桔梗だと喜んでいたことが
記録に残っているから面白い。
ファッションにルールはない…のだろうか。
2022年11月05日
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その三番めの「き」は桔梗。
平安時代、男子の正装には決まり事があった。
夏は身分の高い人は上着の下に赤を着る。
それ以下の人は紫である。
ところが、
赤を着るべき人が紫を着て
桔梗だ桔梗だと喜んでいたことが
記録に残っているから面白い。
ファッションにルールはない…のだろうか。
2022年11月05日
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その四番めの「な」は撫子。
「草の花はなでしこ」と
清少納言も書いているように
平安貴族のお気に入りだった花で、
当時からすでにあった中国伝来の撫子と
区別をするために
大和撫子という言葉が生まれた。
日本の色の名前にも撫子がある。
明るく初々しいピンク色だ。
そういえば、
撫子という名前があるのに
私たちはなぜ、あの色をピンクと呼ぶのだろう。
2022年11月05日
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その五番めの「ふ」は藤袴。
藤袴は日本書紀に「蘭」という名前で出てくるが、
万葉集に山上憶良の七草の歌があって、
そこではすでに藤袴という名前になっている。
ずいぶん昔から同じ名前で親しまれてきた花だ。
ところが今やレッドデータブックに
名前を連ねるようになってしまった。
川岸の護岸工事などで
生きる場所を失い、絶滅が心配されている。
園芸ショップで売っている藤袴は
改良を加えられた別物。
川沿いの湿った場所が好きだったあの藤袴は
どこにいるのだろう。
2022年11月05日
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その六番めの「く」は葛の花。
葛ほど役に立つ植物はない。
葉は牛や馬の餌になる。
根は食料になり、薬にもなる。
ツルの部分を繊維にして織った布は丈夫で
昔のスポーツウェアや子供服として重宝された。
そういえば、葛の花は鮮やかな赤紫だが
日本の色の名前に葛という色はないし
お酒に入れると悪酔を防ぐという話があるが、
それもあまり広まってはいないようだ。
クズという名前に多少問題があるのだろうか。
2022年11月05日
「お好きな服は」の七文字で
秋の七草の名前が覚えられる。
その七番めの「は」は萩。
萩は秋のはじめに早くも見ごろを迎える。
萩は日本の秋になくてはならない花である。
植物学者の牧野富太郎先生によると
「萩」という漢字そのものが日本で生まれたのだそうだ。
そのためだろうか、
いま私たちが使っている「萩」という漢字は
万葉集には出てこないし、古今集にも使われていない。
さて、歌の世界だと、萩といえば鹿である。
万葉集の時代は
萩の花芽を食べに来る鹿を見て
鹿が萩の花に恋をしていると思う人がいたらしい。
我が岡に さを鹿来鳴く 秋萩の
花妻問いに 来鳴くさを鹿
さを鹿の 来立ち鳴く野の 秋萩は
露霜負ひて 散りにしものを
こんな歌があるくらいだから
万葉の人たちは秋の萩と鹿の物語を
よほどロマンチックに考えていたのだろう。
最初の歌は萩の花に恋をして通ってくる鹿を歌い、
二番めの歌からは
萩の花が散ってしまって嘆く鹿の様子が
思いやられる。
萩は、根元から伸びた新しい枝だけに花を咲かせる。
今年の萩は来年新妻に生まれ変わるのだから、
鹿よ、鳴くことはない。
萩の花で秋がはじまり、ススキの穂が白くなって秋が終わる。
2022年10月30日
社会心理学者エイミー・カディ。
パワーポージングに関するベストセラー作家だ。
人は、様々なポーズを取る。
背中を丸める。腕をしがみつける。
体を大きく広げる。
ボディランゲージ。
社会科学者は非言語行動と呼ぶが、
それは人の判断に大きな影響を及ぼす。
誰を採用し、昇進させ、デートの誘いにOKと言うか。
彼女は非言語行動の研究をしているうちに
パワーポージングという可能性にたどり着いた。
2022年10月30日
私たちは、ボディランゲージ、非言語行動によって
他人を判断したり、あるいは判断されている。
そして、私たちの心も、
自らの非言語行動に影響を受けている。
ジョシカ・トレーシーの研究によれば
目が見えるランナーも、生まれつき目が見えないランナーも、
勝利した時は、両手を上げ、顎を前に出すという
同じポーズをする。
見たことがあるかないかにかかわらず、
心の状態と、身体のポーズは関係しているのだ。
2022年10月30日
社会科学者エイミー・カディは
身体のポーズによって、
心の状態がどう変わるのか研究をはじめた。
彼女が担当するハーバード大学のMBAの生徒を観察した。
ボス的な人は教室の真ん中に座り、身体を大きく広げる。
大きく手を上げる。
逆に教室に入ってくる瞬間から、身体を縮こませている人もいる。
力強いポーズを取っている人は、成績もいい。
なぜなら、MBAの成績の半分は授業中の発言によって決まるからだ。
そこで彼女は考えた。
力強いポーズを取るフリをしているうちに、
より積極的に授業に参加できるようになるのではないかと。
彼女は2つのホルモンに注目した。
支配性のホルモン、テストステロンと
ストレスのホルモン、コルチゾール。
霊長類のボスは、テストステロンが多く、コルチゾンが少ない。
人間の強いリーダーも同じだった。
2022年10月30日
社会心理学者のエイミー・カディは、
ポーズと心の関係に関する実験を始めた。
唾液から検出されるホルモンを測定したのだ。
ある人には強いポーズを取ってもらい、
ある人には弱いポーズを取ってもらう。
そして、ギャンブルをする機会を与える。
強いポーズの人は支配性のホルモンが20%増加し
86%がギャンブルをした。
弱いポーズの人は支配性ホルモンが10%減少し
60%しかギャンブルをしなかった。
ポーズがホルモンに変化をもたらし、
心の状態を変えたと彼女は考えた。
2022年10月30日
社会心理学者エイミー・カディは、
ポーズと心の変化の実験を
より実践的なシーンを想定して行った。
研究室に人を集め、力強い、あるいは力の弱いポーズをした後に、
ストレスの強い面接を受けてもらう。
面接官は非言語的フィードバックを一切しない。
その際の動画を4人の採用担当者に
音を消して見てもらい誰を採用したいかを聞く。
合格したのは、みな、
面接前に力の強いポーズをした人だった。
人が人を評価するのは
その時の態度が大きく影響するという結果になった。