2022年10月08日

執筆者波多野三代

Photo by haru__q

〜音を立てる木の話〜 家鳴り

寝静まった夜中に家が音を立てている。

その現象は「家鳴り」と呼ばれている。
時に軋み、時には爆ぜる。

木は柱や梁に姿を変えても
呼吸をしている。
呼吸によって水分を吸ったり吐いたりして
伸び縮みする。
それが家鳴りの原因だ。

バキッ、ミシッ。
家が鳴るのは木が元気な証拠だそうだ。

〜今日は木の日〜

2022年10月08日

執筆者波多野三代

Photo by Forest and Kim Starr

〜歩く木の話〜 ガジュマル

ガジュマルは
「歩く木」という異名を持つ。

枝から「気根」と呼ばれるたくさんの根を垂らし、
幹と融合して太く、大きく育ってゆく。

最初に幹だった部分が腐ると
その気根が幹となる。
腐った部分はなくなり、新たな幹に重心が移る。
長い長い年月をかけ、それを繰り返すうち
少しづつ移動する。

今日もガジュマルは
悠久のはざまの一瞬を、ゆっくりと歩いている。

〜今日は木の日〜

2022年10月08日

執筆者波多野三代

〜お寿司と木の話〜 フィトンチッド

お寿司屋さんは
木の力で守られている。

フィトンチッド、という言葉をご存知だろうか。
それは、森の木々が放つ殺菌成分。

木はそこに生えた瞬間から、
一生その場所で生きなければならない。
だから身を守るために細菌を殺す成分を放つ。

そのフィトンチッドをお寿司屋さんは利用してきた。
ヒノキなどで作られたまな板や寿司下駄、カウンター。
ネタを保存するケースの中には
針葉樹の葉が敷かれている。

お寿司屋さんには、見えない森があるのだ。

〜今日は木の日〜

2022年10月08日

執筆者波多野三代

Photo by ESO

〜夜空で燃える木の話〜 燃える木星雲(もえるきせいうん)

はるか夜空には燃える木があるという。

冬の星座、オリオン座。
腰ベルトにあたる3つの星のそば
1400光年の彼方にその木はある。

燃える木星雲。

明るく輝くガスの中央に
暗いガスとチリが広がるさまが
まるで黒い樹木から炎が吹き出すように見えることから
この名がついた。

その木はもう何万年も
空で静かに燃えている。

〜今日は木の日〜

2022年10月08日

執筆者波多野三代

〜世界で一番高い木の話〜 ハイペリオン

地球上で最も大きな生き物、木。
中でも世界一高い木はカリフォルニアの
「レッドウッド国立公園」に生えている。

その世界一高いセコイアの木は「ハイペリオン」と呼ばれている。
名前の由来は、古代ギリシャ神話に登場する
巨大な神々の1人。太陽神「ヒュペリオーン」
高みをいくもの、という意味。

樹齢は600年で、大航海時代のころから生きていることになるが
意外なことに、セコイアの寿命からすると
まだ20歳代の若者にあたる。伸び盛りだ。
その高さは115メートル。
ピサの斜塔や自由の女神、ビッグベンをも超えている。

この木がこれだけの高さに成長できたのは
山火事に強い性質のおかげだ。
30センチにもなる分厚い樹皮と、
燃えにくいタンニンや水分を豊富に含むこと。
この性質のおかげで
他の木々が燃えても、ハイペリオンは生き延びることができた。

なお、今このハイペリオンに近づこうとすると
5000ドルの罰金と、6ヶ月の懲役が科される可能性がある。
それは、2006年にこの木が発見されてから
物見高く押し寄せた人々が周辺を踏み荒らしたのが原因だそうだ。

度重なる火災にも耐え、伐採も免れて
長く生きてきたハイペリオン。
その生のほんの一瞬、現れた人間たちを見て何を思っただろうか。

ハイペリオンは、守ろうとする人々の配慮によって
また平穏を約束された。

〜今日は木の日〜

2022年10月02日

執筆者佐藤延夫

望遠鏡の日 トーマス・ハリオットと月

1609年。
望遠鏡から見える月を最初に描いたのは、
イギリスの天文学者、トーマス・ハリオットと言われている。
(ガリレオよりわずか数ヶ月早かったそうだ。)
使用したのは、倍率6倍のオランダ式望遠鏡。
月の明るい部分と暗い部分の差がわかる程度のスケッチだが、
当時の技術を考えると精一杯だった。

今日10月2日は、望遠鏡の日。

遠くを見るための望遠鏡を
ハリオットは初めて空へ向けた。

2022年10月02日

執筆者佐藤延夫

望遠鏡の日 ガリレオ・ガリレイと月

ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡を月へ向けたのは
1609年のことだった。
月を眺めて、ガリレオはこんな言葉を残した。

月は平坦ではない。
起伏に富み、いたるところにくぼみや隆起が見られる。
山々が連なり、谷がえぐられ、
それは地球の表面とよく似たものである。

だが、のちにイエズス会のメンバーが証拠を調査し、
月は完全に滑らかだ、という独自の結論を下す。

今日10月2日は、望遠鏡の日。
そのレンズには、真実のみ映る。

2022年10月02日

執筆者佐藤延夫

望遠鏡の日 ヨハネス・ヘヴェリウスと月

ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウス。

4年にわたって月を観測し、
1645年に出版したのは「セレノグラフィア」。
史上初となる月の地図帳だった。
世界地図のように、月の地形をすべて記したものだ。

ヘヴェリウスは、観測した地形に、
ギリシア語やラテン語で名前をつけた。
さらに、肉眼で見えるくぼみは、海。
望遠鏡で確認できるくぼみは、クレーターとした。
その正確さから、およそ100年にわたり、
ヘヴェリウスの地図が天文学の教科書がわりになったそうだ。

1673年。空気望遠鏡と呼ばれるものを制作し、
宙を眺め続けた。
彼の望遠鏡は、あまりに巨大だったため、
風や振動の影響を受けやすく、操作は困難だったという。

今日10月2日は、望遠鏡の日。

2022年10月02日

執筆者佐藤延夫

望遠鏡の日 アナクシマンドロスと月

古代ギリシア時代に遡ると、
宇宙の構造について初めて語ったのは、
紀元前の哲学者アナクシマンドロスと言われている。

天体は規則正しい円を描きながら地球のまわりを回転する。
地球は、何の支えもなく浮いている。
地球は分厚い円盤のような形をしている。

なるほど。肉眼で観察した宇宙を合理的に説明すると
天動説になるのだ。

今日10月2日は、望遠鏡の日。

2022年10月02日

執筆者佐藤延夫

望遠鏡の日 人類と月

それまで主流とされていた天動説をくつがえし、
地動説を唱えた、ニコラウス・コペルニクス。
コペルニクスがこの世を去って70年も経たないうちに
望遠鏡が発明された。1608年のことだ。

これまで光の点だったものが、丸い形に見える。
衛星を持つ惑星があり、銀河は限りなく存在する。
望遠鏡によって地動説を裏付ける発見が
次々ともたらされた。
天文学者たちは色めきたち、思い思いの宇宙地図をつくった。

今日10月2日は、望遠鏡の日。