2022年08月27日
波多野三代
〜8月の一瞬〜 夏と秋の狭間
8月は夏か、秋か。
8月8日は立秋。
暦の上では秋だが、
そこから 1年で最も暑い夏の名残が始まる。
そのうだるような一ヶ月は
夏の果て、とも表現され、
いくつもの俳句に詠まれてきた。
季節が過ぎてゆく寂しさと
いつまでもさらない暑さとに
なんとか折り合いをつけながら、
夏と秋がせめぎ合う瞬間を見て暮らす。
8月はそんな月だ。
〜8月の一瞬〜
2022年08月27日
8月は夏か、秋か。
8月8日は立秋。
暦の上では秋だが、
そこから 1年で最も暑い夏の名残が始まる。
そのうだるような一ヶ月は
夏の果て、とも表現され、
いくつもの俳句に詠まれてきた。
季節が過ぎてゆく寂しさと
いつまでもさらない暑さとに
なんとか折り合いをつけながら、
夏と秋がせめぎ合う瞬間を見て暮らす。
8月はそんな月だ。
〜8月の一瞬〜
2022年08月27日
ツバメの水浴びは、空中で行われる。
夏になると、ツバメが盛んに
水浴びをする姿が見られるようになる。
羽を広げて急降下し、
水面に体を叩きつけてはまた飛び上がる。
全てはほんの一瞬。
水の心地よさをゆっくり味わうこともない。
ちなみに8月の別名は「燕去り月」
無事に育った子供達を連れて
ツバメは東南アジアの国々へ渡ってゆく。
〜8月の一瞬〜
2022年08月27日
花火はお盆の迎え火、送り火だった、
と言われている。
隅田川花火大会は
1733年、大飢饉で亡くなった人々の鎮魂のため、
徳川吉宗がはじめと言われる。
古来、火を焚けば
あの世からこちらの世界が見えると考えられていた。
お盆前後に花火大会が多く開催されるのは
あの世にいる人々を、美しい火で
送り迎えするためだそうだ。
花火が開いた瞬間、懐かしいひとびともまた
夜空を見上げているのかもしれない。
〜8月の一瞬〜
2022年08月27日
スゥエーデンの8月は、
ザリガニパーティーの季節。
8月がやってくると、
スゥエーデンの人々は庭にテーブルを出す。
香草と塩で真っ赤に茹で上げたザリガニを
テーブル一杯、山盛りに積み上げる。
そして沈まぬ太陽の下、
度数40度を超える蒸留酒で乾杯したら、
手掴みのザリガニパーティーが始まる。
長く暗い冬を抜けて、北欧の夏は一瞬。
歌って、飲んで、そして食べて。
真っ赤なザリガニには、
短い太陽の季節が詰まっている。
〜8月の一瞬〜
2022年08月27日
8月の流れ星といえば、ペルセウス座流星群。
彗星が残した塵の帯の中を、1年に1度地球が通過するとき、
煌く夜空の日がやってくる。
流星群がやってくると
流れ星に願い事をする、という話題も活発になる。
その由来は諸説あるが、世界中に散らばっている。
一つはヨーロッパの古い伝説。
神様が空の上から
時々下界の様子を見るために
一瞬だけ空を開ける。
この時に、天の世界から光がこぼれ落ちる。
それが流れ星なのだという。
だから、この時に願い事をすれば
神様に届くのだ。そう信じられていた。
もう一つは、天国に行けない魂が空を駆けているというもの。
それを見て誰かが冥福を祈ってくれれば天国に行くことができ、
願ってくれた人にも幸せが訪れるのだとか。
アメリカでは、「マネー!マネー!マネー!」
お金、と3回唱えるとお金持ちになれると言われている。
星の流れる一瞬
とっさに口にすることができるほど
日頃から願い続けていることがあるとすれば
それは日々の目標であり、人生を生きる力でもある。
8月は世界中の人々が夜空を見上げ
星に願いをかけている。
たくさんの願いごとで、空と地上がつながる。
そんな一瞬があればいいと思う。
〜8月の一瞬〜
2022年08月21日
旅に出るとは、どういうことなのだろう。
旅人とは、どんな人なのだろう。
近代詩の礎を築いたフランスの詩人、
ボードレールはこう答える。
旅のために旅をする人だけが、本当の旅人
軽い心は 風船のよう
その宿命から 逃れられずに
わけもなくただいつもこう言う
さあ行こうと
目的はない。でも心に残る一瞬がある。
それが旅なのかもしれない。
2022年08月21日
旅、Voyage。
ラテン語で道を意味する言葉に由来する。
切っても切れない旅と道。
そんなロードムービーの名作に、
フェデリコ・フェリーニ監督の『道』がある。
大道芸人ザンパノと、
彼に買われた女、ジェルソミーナは旅をする。
ロードムービーは、旅を背景にした
人や想いの、さまざまな道の行末を
わたしたちに見せてくれる。
そしてわたしたちは
旅する人はいつも
道の上にいるのだと思う。
2022年08月21日
世界初のバックパッカーという異名を持つ、
ジョバンニ・フランチェスコ・ジェメリ・カレリ。
1651年、イタリア南部で生まれた彼は、
法学の博士号を取得し裁判官となる。
しかし、貴族の出ではない身の上から、
仕事の中でチャンスを逃すことが多くあった。
40歳を過ぎたころ、カレリはキャリアを中断して
世界旅行に出発した。
中東を手始めに、ペルシャ、インド、北京。
マニラから太平洋を渡ってメキシコへ。
5年かけて世界を一周してしまった。
カレリに目的があったわけではない。
好奇心の赴くまま異国を歩き、
誤解されたりもてはやされたりしながら
ぶらぶらしていたようだ。
しかしカレリは目標がなくても幸福に生きられることに
旅を通して気づくことができた。
2022年08月21日
ある日、ふと嗅いだ香りに、
懐かしさを感じることがある。
旅先で味わった朝ごはんの匂い。
夏の花の香り。
それは一瞬にして風景や会話など
旅の記憶をも呼び起こす。
こんなふうに思い出が蘇ってくることを
「メンタルタイムトラベル」という。
思い出すことは、心が過去に旅をすること。
記憶をリフレインすることも、ひとつの旅なのである。
2022年08月21日
旅に出ると、
普段はどうということのない
人との出会いが
やけに鮮明に心に残る瞬間がある。
「日本人の旅人」といえば、
きっと名前が出てくる松尾芭蕉。
「奥の細道」では最後にこんな句を残している。
「蛤(はまぐり)のふたみにわかれ行(ゆ)く秋ぞ」
親しくなった人たちとの別れを
ハマグリのふたと、身に例えて表現するこの句。
松尾芭蕉は人と出会いたくて
旅をしていたのだと、ふと思う。