2022年08月13日

執筆者廣瀬大

温泉

あたたかな温泉の湯船に身を沈める。
それは日本人の至福の瞬間。

これまで源泉がなかった地域でも、
地下1000m以上を
ボーリング技術で掘り進めることが可能となり、
温泉を引くことができるようになった。

深ければ深いほど地温が上がり、
お湯も熱くなるという。

温泉も技術の進歩の恩恵を被っている

2022年08月13日

執筆者廣瀬大

Photo by Jule

温泉

あたたかな温泉の湯船に身を沈める。
それは日本人の至福の瞬間。

「寝転んで蝶泊まらせる外湯哉」

小林一茶が詠んだのは
寝転ぶようにして湯船につかる人か。
それとも一度、湯船から出て休んでいる人か。
どちらにせよ、湯につかりながら景色を眺め、
虫の音や川の音に耳を澄ますのは
露天風呂の醍醐味といえる。

一茶ゆかりの温泉といえば信州の湯田中温泉だが、
「寝転んで」の句は松山の道後温泉だそうだ。
一茶は松山が気に入ったのか、
翌年もまた訪れている。

2022年08月13日

執筆者廣瀬大

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

温泉

あたたかな温泉の湯船に身を沈める。
それは日本人の至福の瞬間。

温泉はその土地から湧き出る大地の力であり、
色も質感も違えば、効果効能も異なる。

泡が湧き出る炭酸泉。
美人の湯に多い炭酸水素塩泉。
塩味のする食塩泉は保温効果が高いとされる。

殺菌力が強い酸性泉。
独特の臭気がする硫黄泉は美白効果が期待できるという。
空気に触れると茶色くなる鉄泉。
温泉の泉質は実にさまざま。

一つの地域に異なる泉質のお湯が湧く土地もあり、
ちょっとトクをした気になる。

2022年08月13日

執筆者廣瀬大

Photo by 663highland

温泉

あたたかな温泉の湯船に身を沈める。
それは日本人の至福の瞬間。

たしかに温泉といえばお湯につかるもの。
しかし、飲泉という温泉水を飲む方法もある。

温泉に含まれた成分が体内で吸収され、
効果効能をもたらすと言われる飲泉。
ヨーロッパでは温泉医によって調合された温泉水を飲む
温泉療法がよく知られている。

不思議なのは同じ温泉でも入浴と飲むのとでは、
効果効能が全く異なる場合があること。

飲むときは効能を確かめて。

2022年08月13日

執筆者廣瀬大

Photo by Jared Yeh

温泉

あたたかな温泉の湯船に身を沈める。
それは日本人の至福の瞬間。

では、日本の外に目を向けるとどうだろう。
もちろん、海外にも温泉文化はある。

火山帯にあり良質な泉質に恵まれているトルコ。
トルコの人々も大の温泉好きだという。
真っ白い棚田のような温泉で有名な
パムッカレ・ヒエラポリス温泉。
少し行くとローマ帝国の遺跡がそのまま温泉になっている露天風呂がある。
湯の中に当時の巨大な石柱がいくつも転がっていて
世界でも珍しい温泉浴を楽しめる。
36℃から37℃の温水でも生きていけるドクターフィッシュは
もともとトルコの温泉で皮膚病に使われていた魚。
古い角質層を食べてくれるので
クレオパトラも使っていたという。

ヨーロッパの温泉大国はハンガリー。
約2000年前のローマ時代から受け継がれた温泉文化があり、
首都ブタベストは100以上の源泉を持つ温泉都市である。
なかでもセーチェニ温泉はヨーロッパで最大規模の敷地面積を持つ温泉で、
ここでは湯に浸かりながらチェスをする人々の姿が見られる。
ハンガリーの温泉はぬる湯が多いため、長く入っていられて、
人々の社交場となっている。

意外に思えるかもしれないけど、
広大な土地を持つアメリカには
日本にも負けない泉質の温泉があるという。
古くはネイティブアメリカンがそれを聖なる泉と考え。
湯治に利用した。
土地が広いだけに温泉の個性も豊かで、
100年前のゴールドラッシュの時代に発見された
アラスカのチナ温泉では、
雪の積もる岩に囲まれた大きな露天風呂につかりながら
夜空を見上げると、
そこには美しく輝くオーロラが広がっている。

2022年08月07日

執筆者佐藤延夫

Photo by green kozi

花の日「チューリップ」

17世紀、オランダから発生したチューリップ・バブルは、
世界初のバブル経済と言われている。
当時、人々は珍しい植物に熱狂し、
金儲けの対象にした。
チューリップの球根の売買は、
現物ではなく信用取引。
バブルは膨らむだけ膨らんで、弾けた。
そのときの価格の下落率は、99.9999%。

花の美しさは一瞬の美しさ。
人がどんな値段をつけようとも、それは変わらない。

8月7日は、花の日。

2022年08月07日

執筆者佐藤延夫

Image by Charles Hoag from Pixabay

花の日「ラン」

その昔、荷物を送る際の
梱包材として使われていたのは、植物だった。
たとえばシロツメクサは、
名前の通り、梱包材として
荷物に「詰める草」だった。
だが、花の品種によっては
熱狂を生むきっかけにもなる。
とあるプラントハンターが、
ブラジルから植物を送る際、
何気なく梱包材代わりに詰め込んだもの、
それは、カトレヤ属の植物だった。
ロンドンで荷を開けると、見事な蘭の花が咲いていた。
ハンターたちは一攫千金を狙い、
熱帯の奥地へ消えていったという。

花の美しさは、一瞬の美しさ。
しかしそれは人を狂気へと導く。

8月7日は、花の日。

2022年08月07日

執筆者佐藤延夫

Photo by Annie Spratt on Unsplash

花の日「椿」

椿は、旅する花だ。
と言っても、自分で移動するのではない。
鳥や獣が運ぶわけでもない。
小さな島国、日本から
外国人の手によって、海を越えた。
18世紀、長崎の出島で医者として働いていたカール・ツンベルクは
植物標本と一緒に椿の苗木を持ち帰ったという。
ドイツの博物学者ケンペルや、オランダの植物学者シーボルトも
椿の美しさを母国に伝えている。
日本の植物など知られていなかったヨーロッパの庭園で、
椿だけが大ブームとなり、広まっていった。

フランスの小説家デュマ・フィスの作品「椿姫」。
椿がヨーロッパに渡らなかったら、
別の名前になっていたはずだ。

花の美しさは一瞬の美しさ。
その運命は、ときに人の手に委ねられる。

8月7日は、花の日。

2022年08月07日

執筆者佐藤延夫

Photo by Christina Brinza on Unsplash

花の日「イチハツ」

アヤメ科の多年草、イチハツ。
アヤメによく似た、淡い紫色の花を咲かせる。
イチハツという名前の由来は、
アヤメ属の中で最も早く花が咲くから。
海外では魔除けとしての役割を持つ。

フランスの詩人、レミ・ド・グールモンはこんな言葉を残している。
「4月には家の屋根にイチハツを植える。私たちの明るい庭にも。」

花の美しさは一瞬の美しさ。
世界基準で、縁起のいい花がある。

8月7日は、花の日。

2022年08月07日

執筆者佐藤延夫

花の日「ジャポニズムの花」

19世紀、
ヨーロッパでジャポニズムがブームになったとき
ゴッホは歌川広重の「亀戸梅屋敷」を模写し、
日本の梅を描いた。
陶芸家のエミール・ガレは、
北斎の「桔梗に蜻蛉」から影響を受けた。
クロード・モネが描いた「睡蓮」は、
日本のものではないらしいが、
彼の庭園は、日本の橋、竹林、シダレヤナギなど、
私たちのよく知る風景をいくつも垣間見ることができる。

花の美しさは一瞬の美しさ。
しかしアートの中には永遠の花が咲く。

8月7日は、花の日。