2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by tosa muu

〜梅干しの日〜 曹操の戦略

梅でピンチを切り抜けた武将がいる。
三国志の英雄、曹操だ。

行軍のさなか、猛烈な暑さに見舞われた。
どんなに歩いても水は見つからない。

その時、曹操が掛けた号令が
「しばらく進めば梅の林があるぞ!
着いたら思う存分食べるが良い!」だった。

その瞬間、酸っぱい梅を想像した兵隊たちは
口の中に唾が湧き、喉の渇きを忘れることができたとか。

今日は梅干しの日。

〜梅干しを食べてみませんか〜

2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by Tamaki Sono

〜梅干しの日〜 北条早雲の梅干し

平均寿命50歳と言われた戦国時代に、
北条早雲は87歳まで生きた。
その秘訣は「梅干し」

北条早雲は、粥と共に毎日欠かさず
梅干しを食べていた。
日持ちがし、疲労回復にもなる。

そこで部下にも梅を植え、兵糧にするよう促した。
強大になっていった北条軍。
やがて早雲は一代で、戦国大名にのし上がる。

彼が治めた小田原の地は、
今は関東屈指の梅の名所として知られている。

今日は梅干しの日。

〜梅干しを食べてみませんか〜

2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by 663highland

〜梅干しの日〜 炭鉱の防塵マスク

日本最古の防塵マスクには、
梅干しが入っていた。

世界遺産、石見銀山。
江戸時代、そこで銀を採掘する労働者が発症する
原因不明の病気があった。

安政3年、医師であった宮田柱(みやたちゅう)は
調査を重ね、
その原因が粉塵や油煙を吸い込むことだと突き止めた。

そこで生まれたのが「福面」と呼ばれるマスク。
鉄でフレームを作り、薄絹を縫い付ける。

そしてポイントとなるのが「梅干し」
マスクの内側に「梅肉」を入れると、
その酸で粉塵などを防ぐ、と信じられていたそうだ。

今日は梅干しの日

〜梅干しを食べてみませんか〜

2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by Patrick Vierthaler

〜梅干しの日〜 お正月の大福茶

お正月に梅干しを入れたお茶を飲む風習がある。
その名は「大福茶」(おおぶくちゃ)

大福茶の起源は平安時代に遡る。

都で疫病が流行った年、
空也上人は観音さまの像を車に乗せ、
念仏を唱えながら市中を巡った。

そのとき、空也上人が病人に与えたのが
梅干し入りのお茶。
やがて疫病はおさまり、
人々は1年の無病息災を願って
大福茶を飲むようになったという。

今日は梅干しの日

〜梅干しを食べてみませんか〜

2022年07月30日

執筆者波多野三代

Photo by Rafael Salvador

〜梅干しの日〜 ブラジルの花梅

ブラジルには、「花梅」と呼ばれる漬物がある。
赤紫色で酸っぱい。まさに梅干しの味。
でも、梅は一切使われていない。

花梅の原料は「ローゼル」というハイビスカスの一種。
花が散り、膨らんだ”がく”には
クエン酸をはじめとした植物酸が含まれる。
その”がく”を塩で漬け込むと、
紫蘇漬けにした梅のような、深紅の酸っぱい漬物が出来上がる。
この花梅は、日本人移民がはるかブラジルの地で、
梅干しの味を再現するために生み出したものだ。

1908年6月18日。最初の移民船「笠戸丸」がサントス港に到着。
それから約25万人もの日本人が移住した。
日本とは大きく異なる気候、そしてマラリヤ。
そこでの生活は過酷を極めたという。

帰る手段もない土地で、「味」に故郷を求めたのだろうか。

海の向こう、日本では春になれば梅の花が香り
梅雨どきには梅の実をもいで塩漬けにする。
お盆のころには庭先で土用干しだ。
日に当てることで鮮やかな色になり
風味も格段によくなった梅干しは
やがて家族の団欒に並ぶ。

梅干しは日本の風景と共に
記憶に刻まれた、郷愁の味。

このローゼルで作った梅干の味も、
ブラジルの日系人の郷愁を
呼び覚ますものになっているのだろう。

今日は梅干しの日。

〜梅干しを食べてみませんか〜

2022年07月24日

執筆者河田紗弥

Emojiのハナシ。『絵文字のはじまり』

メールなどを、いつもカラフルに、そしてエモーショナルに、
彩ってくれている”絵文字”

その誕生に、大きく関わっているのがポケベルだ。

ポケベルの文字数はせいぜい10文字。
用件だけで精一杯というなかで
活躍したのがハートマークだったのだ。

たった一文字に込められた
愛情、思いやり…

日本人の優しさが、
いまや世界に愛される「Emoji」を生んだと言っても
過言ではないのかもしれない。

2022年07月24日

執筆者河田紗弥

Photo by cottonbro from Pexels

Emojiのハナシ。『言葉か感情か』

アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した
「メラビアンの法則」によると
人は相手の言葉を受け取るとき
その言葉の内容よりも顔の表情や口調に強い影響を受けるという。
つまり、感情表現を優先的に受け止めてしまうのだ。

メールなどのテキストコミュニケーションでは
相手の感情を受け手の想像力で補うしかなく、
かつては何気ないひと言が諍いに発展することも多かった。

いまならハートマークひとつで誤解を防ぐことができる。
Emojiは世界のデジタルコミュニケーションを
あたたかいものにしている。

2022年07月24日

執筆者河田紗弥

Photo by Fred Romero

Emojiのハナシ。『絵文字のご先祖さま』

1999年、176種類の絵文字を搭載したiモードが発売された。
これは爆発的なヒットになった。
それを受けて他社の携帯電話でも絵文字の開発が行われ、
日本に絵文字ブームが到来する。

種類が増えた絵文字のおかげで
絵文字は文字の代わりも果たすようになった。
車という文字の代わりに車の絵文字を
傘も文字ではなく絵文字が使える。
お日さまと車と温泉のマークを並べると、
絵文字だけで言いたいことがわかる。

地下鉄のMマークが
ハンバーガーショップを表す絵文字として使われる笑い話もできた。
映画館の絵文字はなぜかフグだと勘違いされた。
ポケベルで人気だったハートマークも種類が増えた。

この176文字の絵文字がEmojiのご先祖さまとして
ミューヨーク近代美術館にコレクションされるとは
そのときは誰も思わなかった。

2022年07月24日

執筆者河田紗弥

Photo by Diverse Stock Photos

Emojiのハナシ。『世界の絵文字へ』

2007年。
Googleは自社のサービスである「Gmail」を
日本でもっと普及させるために
絵文字に目をつけた。

日本人が携帯で当たり前のように使っていた絵文字を
うまく取り入れることが、
日本、そしてアジアで、Gmailがローカライズされ、
愛されることには必要不可欠だと考えたのだ。

3年後の2010年。
絵文字は、文字コードの業界規格であるUnicodeとして採用され、
世界で使えるEmojiになった。

2022年07月24日

執筆者河田紗弥

Photo by Luis Alvarez Marra

Emojiのハナシ。『世界共通語のEmoji』

日本の文化であった「絵文字」は、
瞬く間に、世界で愛用される「Emoji」となった。

なぜ日本語の「絵文字」という言葉が
そのまま世界共通語になることができたのか。

それは、「絵文字」という言葉に、
英語で感情を意味する”Emotional”の”Emo”という音節が
含まれていたり、
“E-mail”などと同じように”E”から始まったり、
そんな偶然が重なったから、と言われている。