2022年06月11日
川野康之
雨のある風景 『君の膵臓をたべたい』
後から思い出す雨の日がある。
僕は、君を名前ではなく「君」と呼んでいた。
臆病で、いつも自分の殻の中にいた。
あの激しい雨の降る日もそうだった。
同じ部屋の中にいて
二人の気持ちはすれ違ってばかりだった。
僕が君の気持ちと向きあえたのは、
君が死んでからだ。
住野よる作、小説『君の膵臓をたべたい』は
孤独な心と心が出会うストーリー。
2022年06月11日
後から思い出す雨の日がある。
僕は、君を名前ではなく「君」と呼んでいた。
臆病で、いつも自分の殻の中にいた。
あの激しい雨の降る日もそうだった。
同じ部屋の中にいて
二人の気持ちはすれ違ってばかりだった。
僕が君の気持ちと向きあえたのは、
君が死んでからだ。
住野よる作、小説『君の膵臓をたべたい』は
孤独な心と心が出会うストーリー。
2022年06月11日
雨のシーンから始まる物語がある。
川沿いの土手の道を、弟は傘もなく濡れながら
早足で歩いている。
姉が後から追いかけている。
弟のかたくなな背中と、それを見つめる姉。
冷たい雨が斜めに二人に突き刺さる。
人生にたたきのめされながら生きる
弟への愛しむ思いがせつなく伝わってくる。
幸田文の小説『おとうと』は雨の中から始まる。
全編を読み終わった後に思い出すのは
やっぱり最初のこのシーンだ。
2022年06月11日
雨の中の出会いと別れがある。
6月のある雨の日、
男は幼い息子と森の中を散歩していた。
そこに1年前に死んだはずの妻が現れた。
この世を去る前に、妻は約束していた。
雨の降る日に、また戻ってくると
男は再び妻と恋をする。
雨の季節が終わる頃、彼女がまた消えてしまうまで。
市川拓司作、小説『いま、会いにゆきます』は
出会いと別れを繰り返しながら
人生の大切な宝物を見つける話。
2022年06月11日
雨と風の中で高まる鼓動がある。
若者は待っていた。
嵐の中、娘が来るのを。
いつの間にか眠り込んでいた。
目を覚ますと、
焚き火の向こうに娘がいた。
裸になって、ずぶ濡れになった服を乾かしていた。
眠ったふりを続けるには、彼女はあまりに美しかった。
嵐に囲まれ、二人は火をはさんで向かい合った。
娘の震える声が聞こえる。
「その火を飛び越して来い。その火を飛び越してきたら」
三島由紀夫の小説『潮騒』には
全編嵐と波の音が鳴り続けている。
そしてその中で生きる命が強く鳴り響く。
2022年06月11日
雨の日に会いたい人がいる。
6月のある日、雨の降る公園で
少年は年上の女の人と出会った。
東屋で二人は雨宿りをした。
別の雨の日、また同じ公園で出会った。
また会うかもね、雨が降ったら。
と女の人は言った。
雨が降ると二人はいつもそこで会った。
少年は雨の日を祈るようになった。
雨の日だから見える風景がある。
信号の色を映す水たまり。
緑色に光る公園。
濡れて重そうな葉っぱ。
無数の雨粒。
水面に広がる波紋。
新海誠監督『言の葉の庭』に出てくる
雨の風景はことさらに美しい。
この世界には、雨の日にだけ見せてくれる美しさがある。
そして空模様は人の気持ちとつながっている。
映画はそのことを教えてくれる。
雨の日には誰かに会いたくなる。
今日6月11日は暦の上で「入梅」。
明日雨が降ったら、傘を持って歩いてみませんか。
素敵な出会いがあるかもしれません。
足を止めて空を見上げる私たちに、
雨は空の匂いを連れてきてくれる。
雨の日は誰かに会いたくなる。
2022年06月05日
いま誰かが実践している環境への取り組み。
「本を読む」
え、なんで? と思うかもしれないけれど、
これはある学生さんが教えてくれた取り組み。
気候変動などに対してさまざまな意見がある中、
ちゃんとした情報を得ることは
とっても大事なこと。
「何冊か本を読んでみる」
「ウェブでも調べてみる」
知らないで終わらせない。いろんな意見を知る。
そして、科学的事実を理解して行動する。
これこそが環境への取り組みの第一歩。
2022年06月05日
いま誰かが実践している環境への取り組み。
「ちゃんと選挙に行く」
これはある学者さんが教えてくれた取り組み。
選挙に行くことと環境への取り組みに
なんの関係があるのだろう?
そう思うかもしれないが
環境問題は国や行政、企業が取り組まなければ
変わらないことがたくさんある。
立候補者の公約を読んで、
環境問題に取り組むか
調べて投票することで、
政治家の行動が変わり、
国が変わっていく。
そうなって欲しいと思う。
2022年06月05日
いま誰かが実践している環境への取り組み。
「愛猫をもふもふする」
あるウェブデザイナーが教えてくれた取り組み。
リモートワークが増えて、家でP Cに向かって仕事をしていると、
寒い日などは愛猫が膝に乗ってくるのだそう。
猫を膝に乗せて仕事をする。
生き物同士が暖め合うことがうれしくて
気持ちと体がほっこりしてくる。
ああ、生きてるっていいなあと思う。
「働く環境だって環境のひとつよね」と彼女。
それはその通り。
暖かすぎると猫が来てくれない。
暖房を消してみたら
昼間はそれで過ごせる日が多いことに
気がついた。
「これも環境への取り組みって言えるかなあ」
と、ウェブデザイナーは笑って言った。
猫のおかげで
環境への負担がちょっぴり減る。
小さいけれどいい循環。
2022年06月05日
いま誰かが実践している環境への取り組み。
「木材で発電をする」
とある林業に携わる職員が教えてくれた取り組み。
林業が盛んなその地域では、
山に放置されていたり、
捨てられていたりした木材を使って
バイオマス発電をするようになった。
「日本は資源が乏しい国と言われますが、
違いますよね。
地下資源が乏しいだけで、
ちょっと目線を上げると
森林や水などの地上資源は
豊かにあるんですね」
とその人は笑っていた。
2022年06月05日
いま誰かが実践している環境への取り組み。
「ゴミという概念を捨てる」
ある主婦が教えてくれた取り組み。
ゴミではなく何かに使えると考えてみる。
最近始めたのは生ゴミを堆肥にすること。
お金をかけず、簡単に堆肥がつくれて、
ガーデニングも楽しくなる。
「自然のものにムダはないんだなあと思う」
と彼女は言った。