2022年06月04日

執筆者小林慎一

Photo by Agence Olloweb on Unsplash

イーロンマスクが掘っている未来♯7

イーロンマスクはなぜ、渋滞を解消するために
地下3Dトンネルネットワークをつくろうとしているのか。

それは、車の自動運転が可能になれば
車の数が爆発的に増えると彼は予想しているからだ。

自動運転が実現すれば、渋滞が減ると考えている人は多い。
それは、ある時期までは正しい。

But、しかし、行きたい場所に行くのに、
車がバスよりも安い乗り物になると車は今よりも増えるでしょう。

あなたの車が、あなたを仕事場に送り届けた後、
仕事をしている間に、
Uberのようにお客さんを運びお金を稼ぐようになる。
そうすれば、車はただ同然になります。

そういう未来を見据えながら、
イーロンはカメラとGPSだけで自動運転を可能にしようとしている。

コストの高いセンサーやレーダーを開発する必要がないため
安く、早く自動運転を実現できるという。

You can be superhuman with just cameras.

カメラだけで、スーパーヒューマンになれるんです。

イーロン・マスクは、ただ単に電気で走る自動車をつくっているのではない。
その車は、今日も、オーナーを乗せ世界中を走りながら、
自動運転のための膨大なデータを集めている。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

国境の話・コスパイア共和国 

15世紀のイタリアで
ある川を国境にした結果、
想定外の国が誕生するという珍事が起きた。

領土交渉の際に
川が2本の支流に分かれていることに気づかず、
それぞれ近い岸に国境線を引いてしまったのだ。

これによって国境線のあいだに
コスパイアという村が取り残された。
税金からも支配者からも
自由となった村人たちは、独立を宣言。

やがてタバコ栽培で潤った「コスパイア共和国」は、
400年もの長きにわたって存続したという。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

国境の話・ボトルネック自由国

第一次世界大戦後、連合国はライン川左岸を占領。
イギリス、アメリカ、フランスは
それぞれの拠点を中心に円を描き、占領地域とした。

しかし、ここで問題が起きる。
2つの円が接触しなかった部分に、
細長い空白地帯が発生したのだ。
その形が瓶の首に似ていたことから
「ボトルネック自由国」と呼ばれた。

国際法で認められた国でもなく
地理的にも孤立していたため、
物資の多くは密輸などでしか持ち込めなかった。
ときには領内を通過する貨物列車まで襲ったという。

結局ボトルネック自由国は、
フランスの占領地拡大によって
4年ほどの歴史を終えた。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

Photo by Ewan Munro

国境の話・クラリッジズホテル212号室

この世界には、国境のせいで
「飛び地」となってしまった場所がいくつかある。

なかでも変わった飛び地といえば、
ロンドンにあるクラリッジズホテルの212号室だろう。
ここはかつて、ユーゴスラビアの領地だったことがあるのだ。

それは第二次世界大戦中のこと。
戦火を避けてイギリスに亡命していた
旧ユーゴスラビアのペータル2世夫妻に、
皇太子が生まれることになった。
しかしここで問題になったのがユーゴスラビアの王位継承。
当時のユーゴスラビア王国の規定では、
国内で生まれた者にしか王位継承権は認められなかった。

そこで考えられた苦肉の策が、
皇太子が生まれる場所をユーゴスラビア領にしてしまうこと。
かくして時のイギリス首相チャーチルは、
「クラリッジズホテル212号室をユーゴスラビアへ割譲する」と宣言した。

もっとも、皇太子が生まれてしまえば
その部屋をいつまでもユーゴスラビア領にしておく理由はない。
212号室は、翌日にはイギリス領に戻されたという。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

国境の話・南極条約

地球上で国境線がない場所がひとつだけある。
それが南極大陸だ。

かつてはイギリスをはじめとする7か国が
それぞれの領有権を主張してきた。

しかし1959年、
南極大陸の軍事的・政治的利用を回避するため
12か国が原署名国となって南極条約が採択された。

領土問題を棚上げすることで
科学調査活動の自由をすべての国家に認める
画期的な取り決めだった。

この原署名国の英知を称えて、
南極点を取り囲むように
12か国の国旗が掲げられている。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

国境の話・トラクターが動かした国境

ベルギーとフランスの国境は、
ナポレオンがワーテルローの戦いで敗れたあと
1820年に確定した。

それから約200年後の2021年。
国境を区切る標石が、なぜかフランス側に
2メートルほど移動していることが発覚した。

原因を調べたところ、
なんとベルギー側に住む農家の男性が
トラクターの邪魔だからと
この標石を移動させていた。

幸い両国が大人の対応をしたため、
男性が標石を元の位置に戻すことを条件に
外交問題になることは避けられたそうだ。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

Photo by Toubletap

国境の話・ハンス島

北極圏にハンス島という無人島がある。
一年の大半が氷で閉ざされ、
面積は1.3平方キロメートル。

島の東にはデンマーク領のグリーンランド。
西にはカナダの領土。
この2つの国がハンス島の領有権をめぐって係争中だ。

両国の部隊が入れ替わり上陸しているが、
どちらも撤退に際して
自国産の酒を置き土産として
残していくことが慣例化している。

デンマーク軍が上陸したとき、
カナダ軍が置いていった酒の箱には
「カナダにようこそ」と書かれていたそうだ。

2005年に会談した両国の外相は、
今後の国境についての論争を
「抑えた控えめな態度」で行うことで合意した。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

Photo by Masayuki (Yuki) Kawagishi

国境の話・電子国家エストニア

ITを積極的に取り入れた
「電子国家」として知られるエストニア。

そのエストニア政府が、
2014年に「e-Residency」という制度を開始した。

国外の外国人にもIDカードを発行して、
地球上のどこにいてもインターネット経由で
エストニアの公的プラットフォームを
利用できるようにするサービスだ。

2020年の時点で
世界中に6万8千⼈の登録者がおり、
1万3千以上の法⼈が設⽴されている。

エストニアの実際の人口は130万人ほどだが、
政府の計画では2025年までに
仮想エストニア国民を
1000万人にまで増やす計画だという。

ITの力で、私たちは国境を超えられるだろうか。

2022年05月29日

執筆者藤本宗将

Photo by NASA Johnson

国境の話・宇宙から見えなかった国境

人類の長い歴史のなかで、
国境という排他的な概念が
世界を覆い尽くした。

それは私たちの活動領域の拡大とともに
陸地以外にも広がっていった。
海には領海が、空には領空が定められた。
人類は、宇宙にも国境線を引くのだろうか。

かつて宇宙飛行士として地球を見た毛利衛さんは
「宇宙からは国境線は見えなかった」と語っている。

2022年05月28日

執筆者佐藤延夫

Photo by American Shot 8.0 on Unsplash

週末はパンを/イギリスパン

食パンは、何枚切りがお好き?

関東の人は6枚切りが多く、
関西の人はもうちょっと厚く、
5枚、または4枚が人気だそうだ。

イギリスパンの場合、
本場イングランドでは、
7mmから8mmくらいの薄さに切って、
トーストしてバターをたっぷり塗っていただくのが定番。
もともとコロンブスの時代に、
開拓者たちに分配しやすいようにつくられた、という説がある。
薄く切ってみんなで食べる文化だったのかもしれない。

なんだかちょっとお腹が空いてきた、あなたへ。
週末に、美味しいパンを。