2023年12月23日

執筆者波多野三代

Photo by cmophoto.net on Unsplash

クリスマスを待つ 「ドイツのクリスマスマーケット」

今や日本各地でも見られることの多くなった
ドイツのクリスマスマーケット。
本場では12月24日まで、クリスマスの準備期間に開催される。

クリスマスツリーに、おもちゃ、焼き菓子やろうそくが市に並び、
イルミネーションは瞬き、華やかな活気に包まれる。

が、その昔、このクリスマスマーケットは、
厳しく長い冬が来る前に日用品を売買する最後の機会でもあった。
いまのような華やかさになったのは19世紀以降らしい。

さて、そのクリスマスマーケットの屋台グルメを見てみると
定番の飲み物はスパイス入りの暖かいグリューワイン。
ドイツ語で「燃えるワイン」と言う名の通り、飲めば体をポッポッと温める。

そしてもう1つ有名な食べ物が、ソーセージだ。
ドイツでソーセージが発達したのは、まさにこの厳しい冬のため。
家畜の餌となるドングリをはじめとした植物は、この冬の間に姿を消し、
家畜たちは餓死をしてしまう。
そのため、大事な豚を肉として保存する必要に迫られた。
乾燥、発酵、塩漬け、燻製。それに用いるさまざまなスパイスやハーブ。
春までの長い期間を乗り切る工夫は、加工技術を発達させた。

全てが凍りつき、夜と寒さが支配する季節を前に、
クリスマスまでの準備期間は、生きるための準備期間でもある。

明日はクリスマスイブ。
みなさんはどのように迎えるだろうか。

〜クリスマスを待つ〜

2023年12月17日

執筆者熊埜御堂由香

師走のはなし 「今日はなんの日」

今日、12月17日は、
1903年にアメリカのライト兄弟が
人類初の動力飛行に成功した日。
そこから飛行機の日とされている。

最初は弟が操縦して、12秒間の飛行に成功。
同じ日に4回飛行に挑戦して、
最後には兄が59秒飛んだ。

慌ただしい師走の中でも、
あの兄弟が夢を叶えて駆けた空を
ふと見上げる時間を持ちたい。

2023年12月17日

執筆者熊埜御堂由香

Photo by Simon Desmarais

師走のはなし 「師走の語源」

一年で一番慌ただしい季節、師走。
語源は、諸説あるが、
師とはお坊さんを指すという説がよく聴かれる。

はじまりは、平安時代末期。
心安らかに新しい年を迎えるために、
仏さまの名前を唱え一年の懺悔をする
「仏名会(ぶつみょうえ)」という法要が家々で行われた。
だから、その時期のお坊さんたちは駆け回るほど忙しかったそうだ。

誰かのために走る。
そんな人の仕事納めが、
どうか今年も早くやってきますように。

2023年12月17日

執筆者熊埜御堂由香

Photo by Terry Kearney

師走のはなし 「冬至の運盛り」

師走も後半に入ると、冬至がやってくる。
一年で一番日照時間が短くなるこの日。
古代中国では、太陽の力が最も弱まる日と捉え、
ここを乗り越えれば太陽の力がよみがえっていく、
一陽来復の日とも言われる。
悪いことが続いた後は幸運に向かっていき
人生が好転するといった意味も込められている。

そんな冬至の日に、「ん」のつく食べ物を食べて
運気を上げる「運盛り」という風習がある。
なかでも「ん」が2つ続く、
なんきん、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、
うんどん、つまり、うどんは、冬至に食べたい七つのものとして数えられる。

新しい年の幸運に向けて、
どれか一つでも口にしてはどうだろうか。

2023年12月17日

執筆者若杉茜

Photo by Jo Zimny Photos

師走のはなし 「満月の名前」

冬空は高く、遠く、澄む。
満月は、月毎に名前を持つ。
12月の冬空に浮かぶ満月の名は、Cold Moon。

鋭い寒さの訪れを告げる満月として、
ネイティブアメリカンたちに名付けられた。

遠くにぽっかり浮かぶ光は、
今も昔も、寒さの中でいっそう輝く。
1年の終わりを照らすように。

2023年12月17日

執筆者若杉茜

師走のはなし 「太陽の石」

1790年12月17日。
233年前の今日、
かつてのアステカ帝国の首都テノチティトラン、
現在のメキシコシティの中央広場で、
太陽の石が発見された。

重さ24トン、直径およそ3.6メートルの円形の石には
大地の神や暦のようなモチーフが刻まれ、
アステカ文明の宇宙観をあらわすと言われている。

師走のひと時、はるか遠き時代の世界に、
想いを巡らせる。

2023年12月17日

執筆者厚木麻耶

Photo by Martyn Smith

師走のはなし 「世界一平和な国の大晦日」

もうすぐ年越し。

軍隊を持たず、世界一平和な国と言われるアイスランドでは、
大晦日のカウントダウンとして盛大に花火を打ち上げる。

一年を締め括るこの日だけ、
一般の人が打ち上げ花火をあげることが許されており
来年に持ち越したくない想いや、新年への希望を花火に乗せて
大きな空へと解き放つ。

古い年は空に打ち上げてしまえ。
そんな大胆さが、世界一平和な国の平和をつくっている。

2023年12月17日

執筆者厚木麻耶

Photo by Gibi Savini

師走のはなし 「第九」

師走の風物詩、第九。

大晦日にベートーベンの交響曲第九番を演奏する慣わしは
第一次世界大戦が終わった1918年の12月31日、
ドイツ、ザクセン州のライプツィヒで
自由と平和を願い、年を跨いで演奏されたことが始まりだそうで
その演奏会は午後11時にはじまり、
新年を迎えると同時に「喜びの歌」がうたわれたという。

現在、ベートーベンの自筆の楽譜は

ユネスコの世界遺産に登録されており、
その説明としてこんな言葉がある。

Many orchestras play this work traditionally at New Year’s Eve, 
stressing the symbolical power of the symphony

来年が平和になることを願い、
今年も第九は演奏される。

2023年12月17日

執筆者渡邊清子

Photo by Khalid Al-Haqqan

師走のはなし 「火が持つ力」

The fire is winter’s fruit. – 火は冬の果物である
アラビアのことわざとして知られている言葉。

寒い冬に灯る炎は、物理的なあたたかさだけでなく、
温もりによる喜び、安らぎ、
そして人が集うきっかけをくれるもの。
師走こそ、火を囲む豊かな時間をごゆっくり。

2023年12月16日

執筆者廣瀬大

直立歩行#1

二足歩行。
この不安定な歩き方が、
人間の長距離の移動を可能にしたという説がある。

二本の足で立った人間の祖先。
片足を上げると、倒れそうになり、
転ばないよう自然と足が前に出る。
もう片方の足を上げると、
また倒れそうになり、
転ばないよう自然と足が前に出る。
四足歩行ではこの歩き方はできない。

このエネルギーを極力使わない歩き方が、
ゆっくりとだが長距離の移動を可能にした。
そうこの説は唱える。