2023年10月15日

執筆者 田中真輝

Photo by S.R.G - msucoo93

変わりゆく旅のカタチ 『近くへ行こう』

世界中で旅のカタチが
大きく変わり始めている。

新型コロナの流行を経て、
人々は遠い外国ではなく、近場にも
目を向けるようになった。

自分が住む地域を改めて観光地として
捉えてみよう、というこの動きは
「マイクロツーリズム」と呼ばれている。

旅人のような
新鮮な眼差しで見つめてみれば、
見慣れた場所にも、新しい発見や、
より深い愛着が生まれるのではないだろうか。

2023年10月15日

執筆者 田中真輝

Photo by Bing Hui Yau on Unsplash

変わりゆく旅のカタチ 『追悼の旅』

世界中で旅のカタチが
大きく変わり始めている。

「ダークツーリズム」という言葉をご存じだろうか。

それは、災害被災地や、戦争跡地など
人類の死や悲しみなどの悲劇にまつわる
場所を訪れる旅のこと。

実際にその地に立ち、死者を悼み、その場所の
記憶に真摯に耳を傾ける。

そこには何もないという事実こそが
負の遺産が風化しやすいことを
物語っているのではないだろうか。

歴史を受け継いでいくためにはきっと、
紙の上での学びだけではなく、
体と心で受け止める運動が必要なのだ。

2023年10月15日

執筆者 田中真輝

Photo by Dick Thomas Johnson

変わりゆく旅のカタチ 『現代の巡礼』

世界中で旅のカタチが
大きく変わり始めている。

アニメや映画で描かれる風景の
元ネタとなった場所を探し、
そこを訪れる旅を
「聖地巡礼」と呼ぶ。

それはなぜ「ロケ地巡り」ではなく
「聖地巡礼」なのか。

自分が熱愛する
コンテンツへの理解を深めることによって
自らのアイデンティティを確立しようとする、
その構造は、確かに宗教における
巡礼にも通じるものがある。

それはまた、多様化が進む時代の中で
同じ情熱を誰かと共有したいという
心理の現れなのかもしれない。

2023年10月15日

執筆者 田中真輝

Photo by Kyle Gregory Devaras on Unsplash

変わりゆく旅のカタチ 『旅の果て』

世界中で旅のカタチが
大きく変わり始めている。

人類はとうとう宇宙にまで旅立つ
ようになった。

とある企業が募集した火星への旅には、
5000人以上の応募があったという。

なぜ、人はいつの時代も
未知の世界へと遠く旅立つのか。

その動機は様々だが、
ただ一つ言えること。

その旅の果てに、
いまのわたしたちがいる。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

学名 #1

人類にとって有用な、あるいは
研究しがいのある自然物には学名がつく。
とりわけ、植物と動物においては
「必ずラテン語の」学名をつけるよう
国際ルールが定められている。

なぜラテン語なのか、というと
中世以降のヨーロッパにおいて
ラテン語が学術用語としてメジャーだったため、とされているが
現在その役割を担う言語は英語である。

それをわざわざラテン語にこだわる意味を考えていくと、
「その方がそれっぽいから」という点に尽きる。
客観性と合理性を重視するはずの「科学」において、
イメージという、主観的なものを大事にしているのは
なんとも面白い話である。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

Photo by budak

学名 #2

生き物の学名、というと
ラテン語の響きもあって何やら格調高く聞こえるが
意外と変な意味のものもある。

例えばマレーシアで発見されたクモの新種は、
2008年、ドイツの昆虫学者によって
Heteropoda davidbowie という学名がつけられている。
察しの通り、由来は歌手のデヴィッドボウイである。
このような名前がつくことによって
保護活動への注目を集めやすくなる・・・という効用もあるらしい。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

Photo by Katie Tegtmeyer

学名 #3

2007年にモロッコで
恐竜の骨の化石が発見された。
それは頭蓋骨の断片で、調べると
新種であることがわかった。

さて、新種であるからには名前をつけなくてはならない。
彼らはそれをサウロニオプス(Sauroniops)と名付けた。
由来はトールキンの「指輪物語」に登場する
キャラクター、サウロンである。

なんだか少し、親しみのわく話である。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

moments in nature by Antje Schultner

学名 #4

人類の学名である「ホモ・サピエンス」

この名をつけたのは
18世紀、スウェーデンの博物学者・リンネである。

ちなみに「ホモ・サピエンス」とは
「かしこい人」という意味なのだが、
これに異を唱える人がいた。
オランダの歴史家・ホイジンガである。
彼は人類の学名は「ホモ・ルーデンス」、「遊ぶ人」であるべきだとし、
類人猿との違いは「遊ぶ心」の有無であると主張した。

そう、学名には、その生き物をどう定義するかが関わってくる。
以降、何世紀も使われる名前である・・・と考えると
単なる名前も、意外と重大な問題なのかもしれない。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

Photo by Gruban

学名 #5

人類の学名である「ホモ・サピエンス」

この名をつけたのは
18世紀、スウェーデンの博物学者・リンネである。

ちなみに「ホモ・サピエンス」とは
「かしこい人」という意味なのだが、
これに異を唱える人がいた。
オランダの歴史家・ホイジンガである。
彼は人類の学名は「ホモ・ルーデンス」、「遊ぶ人」であるべきだとし、
類人猿との違いは「遊ぶ心」の有無であると主張した。

そう、学名には、その生き物をどう定義するかが関わってくる。
以降、何世紀も使われる名前である・・・と考えると
単なる名前も、意外と重大な問題なのかもしれない。

2023年10月14日

執筆者新井奈生

Photo by Ilaria Coradazzi

学名 #6

イチョウは、漢字にすると「銀の杏」と書く。

銀の杏でギンナン、と読めば
茶碗蒸しでお馴染みのあれ。
銀の杏でギンキョウ・・・とは普通読まないが、
この読み方から来たと思しき言葉をご存知だろうか。
イチョウ属の学名、ginkgoである。
ちなみにginkgoという名は、
英語でもドイツ語でもフランス語でもイチョウを指す。

この言葉が歴史上、最初に登場したのは
18世紀のドイツ人、ケンペルの書いた本であるとされる。
彼は長崎の出島で日本の植物に関する本を入手し、
イチョウの存在を学んだようである。

日本の誰かが、ギンキョウ、と読んで教えたのか・・・。
いずれにしても、イチョウの名前はねじくれたまま、
ginkgoとして世界に知られている。