2023年08月26日

執筆者波多野三代

Photo by yasara hansani on Unsplash

〜暑気払いはいかが〜 インドのラッシー

夏の気温が50度を超えることもあるインド。
暑気払いに飲まれるのはラッシーだ。
その材料はヨーグルトに牛乳、砂糖、そしてレモン汁。

日本ではカレー店でお馴染みのこの乳酸菌飲料は
インドでは紀元前1000年頃から飲まれてきた。

ヨーグルトは暑さをしのぎ、胃腸を整える。
砂糖は体力がつき、頭も冴えるため
試験の前にも必ず飲むと言われている。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月26日

執筆者波多野三代

Photo by 李 季霖

〜暑気払いはいかが〜 中国の酸梅湯(さんめいたん)

中国の代表的な暑気払いは
梅が主役の甘酸っぱい飲み物、「酸梅湯」

梅の実にサンザシやみかんの皮といった
薬膳を合わせたこの飲み物は
もとは清の皇帝が作らせた。

今はペットボトルや缶に詰められ、
広く人々に愛されている。

暑さのもとでは、みんな平等。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月26日

執筆者波多野三代

from PxHere

〜暑気払いはいかが〜 地中海のスイカとチーズ

トルコやイスラエルといった
東地中海の暑さ対策はスイカとチーズ。

ヤズ・サラタスと呼ばれるこのサラダは
喉が渇かず、夏バテを防いでくれる。

カットしたスイカに
塩味の効いたヤギのチーズを混ぜ
ミントの葉と黒胡椒をかけて食べられる。

スイカに塩味は万国共通なのかもしれない。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月26日

執筆者波多野三代

Photo by Allyson Batis

〜暑気払いはいかが〜 古代ローマのポスカ

古代ローマ時代のスポーツドリンク
その名は「ポスカ」

お酢を水で割り、蜂蜜やハーブで味を整えた飲み物が
暑さ対策として好まれた。

奴隷や兵士たちに飲まれていたものだが、
カエサルやジュリアス・シーザーといった将軍や皇帝たちも
行軍中、連帯感を高めるために共に飲んでいた。

ローマ軍の強さは、塩漬けの豚肉やチーズといった豊富な食料、
そしてみんなで暑さを乗り切る絆でできていた。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月26日

執筆者波多野三代

〜暑気払いはいかが〜 江戸時代の怪談

夏に怖い話をするようになったのは
江戸時代の歌舞伎がはじまりだった

クーラーのない江戸時代、芝居小屋はその暑さから敬遠された。
すると花形役者たちも夏休みをとってしまう。
そこで残された若手の役者たちは一計を案じた。
舞台に涼しく水を張ったり、幽霊役が宙乗りをしたり。
大仕掛けの怪談舞台ならばお客も呼べるだろう。

こうして人々は芝居小屋に戻り、
怪談は夏の定番となった。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月26日

執筆者波多野三代

Photo by hirotomo t

〜暑気払いはいかが〜 ミントガム

噛めばスッと冷たい。
夏にささやかな涼をもたらすミントガム。
日本で普及するようになった原因には、南極観測隊が一枚噛んでいる。

今から67年前、南極観測隊の装備として「南極用のガム」の開発が
ロッテに依頼された。

その目的は、噛むことで
ビタミン、ミネラルといった必要な栄養を補給すること。
それも1種類ではない。
「基地食用」「非常食用」「船中食用」「行動食用」といった具合に
用途別に栄養素にも変化をつける必要があった。
また、鮮やかでとりどりな色をつけ
道に迷った時に雪の上に落とし、遭難を防ぐことも考えられた。

そうして作られた南極用のガムを積んだ観測船宗谷は
昭和31年11月、旅立っていった。

この、南極を思い出させる
冷たさ、爽やかさを再現したガムが
「クールミントガム」として売り出されることになる。

そのパッケージには今も、南極のペンギンが描かれている。

〜暑気払いはいかが〜

2023年08月20日

執筆者熊埜御堂由香

Photo by Raimond Spekking

祈りのはなし 「ありがとう」という祈り

「ありがとう」
一生のうちに口にする祈りが
たとえこれだけであっても、十分である。

If the only prayer ever say
in your entire life is thank you,
it will be enough.

中世ドイツを代表する神学者でありながら、
異端審判で断罪を受けたマイスター・エックハルトの言葉だ。
エックハルトの祈りへの解釈は、
教義も時代も超えて、私たちの心に響いてくる。

2023年08月20日

執筆者熊埜御堂由香

祈りのはなし 赤い芽

明治から昭和を生きた、詩人・小説家の高見順。

プロレタリア文学運動に入り検挙され、
その後、ビルマの戦地にも従軍した。
小説家としては、
饒舌体と呼ばれた私小説が支持された。

その人が永眠する鎌倉の東慶寺に、
「赤い芽」という詩が捧げられている。

空をめざす 小さな赤い手の群れ
祈りを知らない 祈りの姿は美しい

精一杯、生きようとする。
そのものが祈りなのかもしれない。

2023年08月20日

執筆者厚木麻耶

Photo by Essam Saad

祈りのはなし 祈る動物

動物の中でも唯一、
人間だけが「祈り」を捧げる生き物だという説がある。

なぜ、人間はお祈りをするのだろう。

科学的には、祈ることによって
精神的な不安や苦痛を取り除く効果があるとわかっている。
お祈りは、人間にとって、ひとつの生き延びる手段なのかもしれない。

一方で聖書には、こうとも書かれている。

He has also set eternity in the hearts of men; yet they cannot fathom what God has done from beginning to end.

祈るという何かを思う心は、神が人間に与えたものであると

言葉が通じない他の動物が
祈りの心を持っているのか持っていないのか
実際はわからない。

けれど少なくとも人間は、
お祈りに支えられて生きている。

2023年08月20日

執筆者厚木麻耶

Photo by Rosie Kerr on Unsplash

祈りのはなし カマキリ

鎌を胸の前に揃えて獲物を待つ姿が、
お祈りをしているように見えることから
神聖な虫といわれるカマキリ。

日本でも「拝み虫」「祈り虫」と呼ばれ
縁起が良いとされている。

カマキリは、自分より遥かに体の多きい敵にも堂々と立ち向かう。
祈りと覚悟。
勇気ある生きざまである。