2024年03月09日
道山智之
1月の河 「南半球のセンベロ」
リオ・デ・ジャネイロ、コパカバーナで人気の居酒屋。
長いショーケースに並ぶ手作りのおつまみ、
いわば“おばんざい”。
新鮮な魚やイカに玉ねぎスライス、
にんにくとケッパーをきかせた味は
まさに日本人好み。
舗道に出したテーブルで、
ビールにはシャンパンクーラーを巻いて。
暑いからこそ、キンキン。
これがリオの「センベロ」スタイル。
2024年03月09日
リオ・デ・ジャネイロ、コパカバーナで人気の居酒屋。
長いショーケースに並ぶ手作りのおつまみ、
いわば“おばんざい”。
新鮮な魚やイカに玉ねぎスライス、
にんにくとケッパーをきかせた味は
まさに日本人好み。
舗道に出したテーブルで、
ビールにはシャンパンクーラーを巻いて。
暑いからこそ、キンキン。
これがリオの「センベロ」スタイル。
2024年03月09日
世界中が憧れる街、リオ・デ・ジャネイロ。
その風景を唯一無二のものにしているのは、
不思議な形の山々。
グアナバーラ湾に突き出す「砂糖パン」という意味の
「ポン・ジ・アスーカル」。
イパネマ海岸をこの世と思えないロマンチックなものにしている
双頭の山「ドイス・イルモンス」。
雲に包まれる日も多い神秘的な
「コルコヴァードの丘」。
この街には独特の大地の力が
満ちている。
2024年03月09日
リオ・デ・ジャネイロ、イパネマ海岸近くにある
レストラン。
かつて、アントニオ・カルロス・ジョビンが通った店。
ベテラン店員が教えてくれる。
「ジョビンは内側の小さな席で作曲した。
曲ができると外側に来て、みんなと盛り上がったんだ。」
1962年、この店で見かける少女をきっかけに
名曲が生まれた。
すぐれたアートには、
その“ゆりかご”となる場所がある。
2024年03月09日
昨年秋、リオ・デ・ジャネイロ。
世界40カ国から各国を代表する詩人が集まり、
ポエトリースラムの世界大会が開かれた。
“World Poetry Slam Championship 2023”
日本から出場した詩人は、道山れいん。
彼は日本的な情景を故郷の方言で表現し、準決勝進出を果たした。
ローカルであるほど、個人的であるほど。
大切な感情は、深井戸のように世界中でつながっているのだろう。
人間は不可解で、そして素晴らしい。
ぼくのおばあちゃん
おばあちゃんは
母を よく泣かせていた
でも庭でたくさん花を育てていて
ぼくに小学校のヤスヨ先生に届けさせた
花を持っていくのは照れくさかった
おばあちゃんは編み物が得意で
ぼくのチョッキをほどいては編み直した
おばあちゃんのチョッキは
あったかかった
「モヘヤやけん」
ぼくは「モヘヤ」は日本語かと思った
電車で十五分の柳川に行ったとき
おばあちゃんだけ高い「川魚料理」をたのんだ
おばあちゃんは「かわいお」と発音した
ぼくと弟は親子丼
「あんたたちは親子丼でよかね」と決められてしまったのだ
親子丼がいちばん安かった
おばあちゃんは子どもだからわからんだろうと
考えているのがわかった
そしてぼくらのを一口食べ
「水っぽかね いっちょんおいしゅうなか」と
自分の負い目を払いのけるように店を責めた
「ぼくらにも川魚(かわいお)かうなぎを頼んでくれりゃいいのに」と
子どもごころにあきれた
大学生になると
おばあちゃんは毎日東京のぼくのアパートに
葉書きを書いてきた
なにげない話ばかりだった
何百枚も届いた
ある日 書いてある意味がわからなくなった
やがてくねくねした線だけになり
そして なにも書いてないはがきが届いた
最近になって
ヤスヨ先生が九十二才でお元気だと知って久しぶりにお会いした 先生は初めて聞く話をしてくださった
「家庭訪問に行ったとき
おばあさんがおっしゃったとよ
“孫がいい子に育ってよかった
夫も弟も戦争でなくしましたが
孫が元気に育ってくれて
私は幸せです”
って」
おばあちゃん。
ほんなこて・・・
お花もチョッキもハガキも、川魚(かわいお)も、
ちゃーんと届いとったとに。
なーんもわかっとらんやった。
ごめんね。
おばあちゃん。
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
2024年1月20日に
月へのピンポイント着陸に成功した
日本の小型月着陸実証機SLIM(すりむ)。
そのミッションは
狙った場所に着陸すること。
狙い通りに着陸できれば
調査の質も効率も格段に上がる。
クレーターの斜面には
月の内部の物質が露出している可能性が高い。
月誕生の謎にも一気に近づけるその場所を
狙い撃ちするSLIMの別名は“ムーンスナイパー”。
「降りやすいところ」から「降りたいところ」へ。
宇宙開拓の歴史上でもかなりユニークな
世界初のピンポイント着陸。
そのテーマに着目したことこそが
なんとも日本らしい挑戦だ。
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
2024年1月20日に
月へのピンポイント着陸に成功した
日本の小型月着陸実証機SLIM(すりむ)。
SLIMが調査するのは月の内部の成分。
もしも地球の内部と似ていれば
地球に惑星が衝突して、その破片から月が生まれたという
「ジャイアント・インパクト説」の
裏付けになる。
はるか昔から人類が
月に心惹かれる理由も
明らかになるだろうか?
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
2023年9月に種子島から打ち上げられた
天文観測衛星「XRISM(くりずむ)」。
そのミッションは、
これまでになく高い精度でX線を検出して
宇宙に吹き渡る高温ガスを観測すること。
宇宙創生や、ブラックホール、銀河団の誕生など
解けなかった謎に挑んでいる。
今までは見えなかった宇宙の姿を
地球という星で楽しみに待っていよう。
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
「GJ 9827 d」
それが、太陽系から最も近く、
最も小さい水の惑星の名前。
昨年、この惑星の大気中から
水蒸気が検出され、一躍注目を集めている。
しかし地球から約97光年も離れた惑星の
大気の状態が、なぜわかるのか。
惑星が恒星を横切るとき
恒星の明るさがわずかに暗くなる。
この明るさの変化から、
大気の組成がわかるのだという。
人間の知りたいという欲望は
光の速さで宇宙の深淵を超えていく。
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
1万3000の瞳が見つめる中、
遥か彼方からやってきた素粒子が、瞬く。
岐阜県、旧神岡鉱山の地下1000メートル。
スーパーカミオカンデは、そこに鎮座する。
5万トンの超純水が収められた巨大な水槽と
1万3000本の光センサーによって、
遥か宇宙から飛来する
ニュートリノを観測するのだ。
目に見えぬものを見ようとする
すさまじいまでの意志が作り出した
その空間は、さながら科学に捧げられた
神殿のようにも見える。
2024年03月03日
人が宇宙に挑んでいるのか?
宇宙が人を試しているのか?
最新の宇宙論である
「マルチバース理論」によると、
われわれの宇宙の外側には、
次元も、物理法則も全く異なる
無数の宇宙が存在するらしい。
しかも、その存在を観測することは
原理的に不可能。
観測不可能な存在についての議論を
科学と呼べるのか、
という問題がそこにある。