2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Rob Croes / Anefo

マシンと人類 #2

1989年。カスパロフは、人類代表のチェスプレーヤーとして
カーネギーメロン大学が開発したチェスコンピューター、
ディープ・ソートに勝利。

1996年。ディープ・ソートはIBMの元でディープ・ブルーに進化。
カスパロフはまた勝利し、
「人類の頭脳は最強のコンピュータに勝利した」と報道された。

しかし、翌年、1勝2敗3引き分けで
カスパロフはディープ・ブルーに敗れる。

当時、コンピュータが人類の知力を超えたと話題になった。

2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Rob Bogaerts / Anefo

マシンと人類 #3

15年間チェスの世界チャンピオンだったカスパロフは、
対戦相手の身振り手振りを観察し、
目を覗き込み、心を読み勝利を重ねた。

しかし、IBMのチェスコンピュータ、ディープブルーと対戦した時に
奇妙な感覚を覚えたと言う。

カスパロフは、語る。
その感覚は、今までと違う落ち着かない何かで、
自動運転の車に乗る時や、
コンピュータの上司に仕事の指示を受ける時に
似た感覚をあなたも経験するかもしれない。

2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Hassan Pasha on Unsplash

マシンと人類 #4

1997年、チェスの世界チャンピオンだったカスパロフは   
チェスコンピュータ、ディープブルーに敗れると、
さまざまな恐怖に襲われた。

自分は終わってしまうのか。
それよりも自分の大好きなチェスも終わってしまうのか。

しかし、人類は生身のチェスチャンピオンを求め続けた。

そして、機械に負けたゲームは誰もやらないだろうとの予測は外れ
スマホ用のチェスアプリの性能がディープ・ブルーを凌ぐ今
チェス人口は増えている。

カスパロフは言う。
テクノロジーに関する人類の悲観論は人々に人気の娯楽なんです。

2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Brooke-Lynn

マシンと人類 #5

産業革命以来、人類はマシンと競争をしている。
人間の仕事はマシンに奪われるのではないか。
マシンが人間を支配するのではないか。

映画ターミネーター、マトリックスのように。

19世紀の伝説の労働者ジョン・ヘンリーは
蒸気ハンマーと戦い、勝利し、
ハンマーを握ったまま生き絶え、神話の一部になる。

チェスコンピュータ、ディープ・ブルーと対戦し敗れたカスパロフは言う。

人類がマシンに肉体的にも精神的にも勝てる領域はごくわずかです。  
そして、そのマシンもまた人類がつくったのです。
マシンが人類に勝ったのではありません。
私たちは忘れがちですが、マシンの勝利は人類の勝利なのです。

2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Owen Williams, The Kasparov Agency.

マシンと人類 #6

カスパロフはチェスコンピュータ、ディープ・ブルーに敗れると
人間とコンピュータが組んで戦うアドバンスト・チェスを考案する。

人間の直感力と、コンピュータの計算力。
人間の経験と、コンピュータの記憶力。

組み合わせれば、最高のゲームができるのではないかと考えた。

そして、優勝したのは、
チェスのトッププロでもスーパーコンピュータでもなく、
アマチュアプレーヤー2人が、普通のパソコン3台を操作したチームだった。

勝利の鍵は、人の能力とコンピュータの性能ではなく、
人がいかにコンピュータを使いこなすか、にあった。

カスパロフはそう分析している。

2023年07月15日

執筆者小林慎一

Photo by Owen Williams, The Kasparov Agency.

マシンと人類 #7

1997年にチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフが
IBMのディープ・ブルーに敗れて以来。
コンピュータが人類の知性に迫る、超える、と言うニュースが
毎日のように報道されている。

家畜や手作業で行っていたことがマシンに取って代わる時代から
マシンが人類最高峰の資格の試験に合格したり、
人が書いたとしか思えない文章を書いたり、絵を描くようになっている。

カスパロフは、マシンに負けた人間として、
それは、素晴らしいことだと言う。

カスパロフは、こう続ける。

いつかは、どんな職業も、
マシンにとって変わられるというプレッシャーを経験するでしょう。
そうでなければ、人類は進歩をやめたことになります。

マシンが得意なのは、生活の中から困難なことを取り去ること。
そして、人類は、マシンにできない、
より困難な課題を追求しなければいけないのです。

だから、進歩をやめるという選択肢は人類にはありません。

マシンには計算能力があります。人類には理解力があります。
マシンには客観性があります。人類には情熱があります。

人間性は、チェスを指すとか、ハンマーを振るうという、
特定のスキルで定義できません。

そして、人類にしかできないことがあります。
それは夢を見ることです。
だから、大きな夢を見ましょう。

2023年07月09日

執筆者川野康之

Photo by Beth Scupham

鉄の惑星と人間 「鉄の惑星」

「水の惑星」と呼ばれる地球。
しかし重さで見ると
地球の重量のおよそ3分の1は鉄なのだという。
地球は「鉄の惑星」だった。
ビッグバン以来、宇宙の中で、
元素は核融合を繰り返し
最終的には鉄になるという。
その鉄が集まって地球という惑星が生まれた。

2023年07月09日

執筆者川野康之

Photo by Emma K Alexandra

鉄の惑星と人間 「地磁気」

鉄が集まって地球という惑星が生まれた。
鉄は地球の内部でドロドロに溶け、対流し、
そこに電気が流れることにより地磁気を作り出した。
地磁気は宇宙から来る危険な放射線を防ぐバリアになった。
おかげで地表は生命にとって安全な環境になった。
そして地球に生命が生まれた。

2023年07月09日

執筆者川野康之

Photo by Hasan Almasi on Unsplash

鉄の惑星と人間 「生命誕生」

宇宙から降ってきた隕石に含まれていた鉄が
地球の生命を作り出したと言う説がある。
40億年前、
地球に隕石が毎日のように降り注いだ時期があった。
隕石重爆撃期と呼ばれ、
月に残されたクレーターはその時にできたものだという。
隕石には大量の鉄が含まれていた。
地球に衝突した時の膨大な爆発エネルギーが、
水や大気に化学変化を生じさせた。
最初のアミノ酸はこの時にできた。
アミノ酸は長い時間をかけてタンパク質になり、
やがて生命につながっていったという。
この命が地球上のすべての生物へと、
そして人間へとつながっていく。

2023年07月09日

執筆者川野康之

Photo by ANIRUDH on Unsplash

鉄の惑星と人間 「生命と鉄」

地球上の生命は鉄を利用して生きている。
人間も例外ではない。
例えば人の体の中を流れている血液には
およそ釘1本分の鉄が含まれている。
鉄がイオンとなって酸素と結合し、
肺から取り入れた酸素を体の隅々へと運んでいるのだ。